170話 所詮は17番の分身。
170話 所詮は17番の分身。
(俺でもいけるかもしれないが、お前の方が、可能性が高い)
「高評価、いたみいるねぇ」
と、風雅に言葉を返しつつも、
センは、両手を握ったり開いたりしながら、アバターラの体の感触を確かめていく。
「おいおい、アバターラさんよぉ……肉体の練度は上がっているが、存在値は9のままじゃないか。なにやってんだ、バカが。いままで、寝てたのか?」
(……俺はあくまでも17番の分身だ。17番の肉体存在値は今も9のままだから、俺だって当然9のままだ)
17番は、『タイムリープで稼いだ膨大な経験値を注いだエグゾギア』を使うことで、最大出力を108京にまで底上げしているが、
17番の素の存在値は今も9。
ゆえに、17番の分身であるアバターラも、当然、9。
アバターラの肉体を細かくチェックしたセンは、
「戦闘力はだいぶ上がっているから、存在値1000級の魔王が相手でも、どうにかなりそうだ……けど、今、相手にしているは、30京とか108京とか、そういう領域の化物だから、この程度の力は、クソの役にもたたねぇな。あーあ、助けに来てくれたのが、もっと有能なやつだったらよかったのになー」
(殺すぞ、クソ童貞)
「あ、でも、毘沙門天は使えるっぽいな。使用権が17番から俺に移っている。……それはいいんだが……エグゾギアなしで、毘沙門天だけ使えても、出力は1兆そこそこが限界か……これじゃあ、流石に数値が足りねぇな……」
などと対話をしているセンとアバターラに、
セミディアベルが、
「素晴らしいよ、センエース。どんな状況だろうと決してあきらめずに『可能性』をたぐりよせる、その執念……けれど、今、君が言ったように、流石に、その肉体はもろすぎる。毘沙門天が使える程度では話にならない。霊体の時よりできることは多いだろうけれど……私たちに勝てる可能性があるかというと……さすがに、それはないかな、と思うのだけれど、君自身はどう思うのかな?」
「絶望しているに決まっているだろ。心では号泣しているし、本音を言えば、おうちに帰ってお風呂入りたい。もう疲れたよ、パトラ○シュ。なんだか、とっても眠いんだ」
などと言いつつ、心の中で、アバターラに、
(おい、なんか、一発逆転の神器とか回収していないのか? 『一撃で、セミディアベルを殺せる何かしら』みたいな感じのやつ)
(二つある)
(二つも?! ギャグで聞いていたのに?!)
(一撃で殺せるわけじゃないが、この状況を打破できる可能性がある超神器を二つ回収して、俺は、ここにきた)




