168話 8不可思議だろうと……
168話 8不可思議だろうと……
「私の『G‐クリエイション・蝉』にも限界があると予測したのだろう?」
「いえ、なにも予測なんてしておりません。俺はあなた様の忠実なしもべ。将来的に銅像が立ってもおかしくないほどの忠犬だわん! わんわんっ」
「ここまで見てきた全てを総合的に判断して、私のMAX出力を200京前後と予想したんじゃないかな?」
「アホの俺では、予測なんて高度なことはできないわんっ」
「最悪でも『300京』ぐらいと予測し、その上で、『ならば勝てる』と判断した。違うかい?」
「まったく違うわんっ」
「そうか……違うか。そうだね。違うかもしれない。まだ、私は、君を捉え切れていない。私は、いまだ、常識の中にいる。……一度、常識を取っ払って考えてみようか。うーん……おそらく、君は……私の限界など、どうでもいいのだろう」
そこで、セミディアベルは、天をあおいで、静かに微笑みながら、
「私のMAXが、たとえ、500京だろうと、1001京だろうと、200極だろうと、8不可思議だろうと……そんなものは関係なく……私という巨悪を殺すためなら、君は、なんでもするし、絶対に諦めないのだろう……すごいね、その異常。こわいよ」
ボソっとそう言ってから、セミディアベルは、スっと、目線の強度を強めた。
ニタニタ顔をやめて、真剣な目で、
「私は、もう、君に勝ち筋はないと思っている。流石に、ここまで徹底的に詰められてしまえば、抵抗はできないだろう……と『常識的な私』は思っている。しかし、君は、私の想像をはるかに超えるヒーロー。ならば、この状況をも覆してしまうのだろうか? まったく想像つかないが……流石に無理だと思うのだが……しかし……ん……わからないな。怖くもあるし、見てみたいとも思う。もし、ここから逆転できる手があるとしたら、それはいったいなんなのか……」
とても危ない実験をしている科学者のように、そんなことを言ってから、
右手の掌をセンに向けて、その右手にオーラと魔力をためていく。
「できるならやってみてくれ。ここからの大逆転。できないなら……ま、普通に死んでくれればいいよ。……さあ、どうなるかな?」
最後にそう言ってから、
「異次元砲」
強大な威力の照射を放った。
それは、えげつない威力のかめ○め波。
存在値0の霊体センエースでは絶対に耐えられない一撃。
あまりにも明確すぎる『命の終わり』――
センは何も対応できない。
霊体とはそれだけ無力な存在なのである。
終わった……何もかも……




