164話 霊体状態でも怖すぎる閃光。
164話 霊体状態でも怖すぎる閃光。
『一つ聞いていい?』
『なにかな?』
『モンジン……センエースを殺すことだけが目的なら、なんで、わざわざ、魂魄交換を? そんなことしなくても、センエースは、今の状態で、手も足も出せないのに』
『その程度の縛りは、いずれ、簡単に攻略するさ。センエースならね』
『……』
『センエースは、かつて、【センエースより1億倍以上強い相手】に勝ったこともあるんだ。規格外なんだよ、センエースという化け物は。だから、確実に殺す方法を実行しないといけない』
『確実に殺す方法って?』
『まずは、センエースに危機感を抱かせる。最大級の危機感を。この点に関しては……そうだな……あと数日以内にゼンドートが暴れる。とでも言っておけばいいだろう。センエースは、すでに、ゼンドートのヤバさを理解しているからね。そして、その上で、魂魄を交換し、センエースに【君の体】をとことん鍛えさせる。おそらく……いや、確実に、センエースは、信じられない速度で強くなるだろう。センエースの狂気的な努力で完璧に仕上がったところで、魂魄を交換し……そして、【霊体状態(力も体もない)】のまま、副人格排出薬で追い出す。これで、センエースは詰みだ。私とゼンドートだけでも処理するのが大変なのに、あろうことか、センエースは【必死になって磨き上げた自分自身】をも敵にまわすことになる。それも、吹けば飛ぶ霊体の状態でね』
『……すごいことを考えますね。よくそれだけ人を追い込むアイディアが出てくるものだと感心します』
『さあ、どうする17番。どっちにつく? センエースか、それとも私か』
『……ボクは――』
★
霊体状態で外に放り出されたセンは、
17番に、
「俺がイカれているのは十二分以上に理解できただろう! 俺ならゼンドートもセミディアベルも殺せる! 体をよこせ! 猿の17番!!」
「今の君ほどではないけど、ボクも、かなり強くなって、ゼンドート伯爵を何度も追い詰めた。何度も瀕死以上に追い詰めて……けど、伯爵はそのたびにパワーアップして復活してボクを叩き潰した。そんな伯爵よりも、セミディアベル公爵は強いんだ。何ができるのか底が見えない。ボクの時ですら、バカみたいに強かったのに、君を前にしてタガが外れたセミディアベル公爵の異常性はハンパじゃなかった。あんな人には……さすがに、君でも勝てないよ。この世界のシステムそのものを変えられるような人には、どうしようも――」
「勝手に決めるな」




