154話 クリエイション。
154話 クリエイション。
「もっといなせに生きた方が女性にモテると思うよ」
「……」
イラっとした顔でセミディアベルを睨んでいるゼンドート。
セミディアベルは、ゼンドートの睨みをシカトして、
ニタニタ笑ったまま、センに、
「簡単に言うと、人類を全滅させて、大量の経験値を獲得したんだ。そして、獲得した経験値を、『G‐クリエイション・蝉』という神器を使って、『893兆倍』に増加させた。結果、ご覧のような仕上がりになったというわけさ」
「……発言の内容が突飛すぎて、一ミリも理解できなかった……悪いけど、もう一度、言ってくれる?」
「だから、人間を全滅させて、その経験値を、神器で膨らませたんだよ。そんなに難しいことは言っていないと思うけどなぁ」
「……全滅……え、都市にいた人間って、今、全員、死んでんの?」
「うん、そうだよ。ゼンドートくんが皆殺しにしてくれた。ね、ゼンドートくん」
「……都市の人間は、すべて罪人の転生者ですから。僕は罪人を裁く剣。己の役目を全うしたのみ」
その言葉を聞いたセンは、天をあおいで、
「ゼンドートが暴れるのは31日じゃねぇのかよ」
そのつぶやきに、センの中にいる17番が、
(ボクが記憶を飛ばしたことで、歴史の流れが変わったみたいだ……ボクの時は31日だったのに……)
「気づいたら、ゼンドートが暴れ終わっていた件。……なんのために、これまで頑張ってきたんだか……ったく、マジでよぉ……」
そう言いながら、センは、全身にオーラと魔力を充満させていく。
「……流石に、ゼンドートとの最終決戦では、体力も全快にさせた上で挑みたかったのに……まったく、まったく……ってか、セミディアベルも同じレベルの脅威として立ちふさがってくるってのは聞いてないんだが?」
(ボクの時は、セミディアベルは、戦闘に参加していなかった……あくまでも、危険なやつはゼンドートだけだった……のに……)
「ごちゃごちゃと文句を言ってても仕方ねぇな……はぁ……」
ため息交じりに、現実を受け止めてから、
「存在値5京の敵を2人同時に相手して勝てないと終わり……えぐい難易度だぜ。人前じゃなかったら、完全に泣いてるな、これ」
ギリっと奥歯をかみしめて、魂魄に気合いをぶちこむと、
エグゾギアを起動させて、
「行くぞ、そこのバカ二人……殺してやる」
血でぬめる床を蹴り、折れそうな身体を矯めて――センは全力で突っ込んだ。
オーラと魔力を限界まで張り巡らせ、肉体の細胞一つ残らずに『動け』と命令を叩き込む。




