153話 クライマックスストームの前の静けさ。
153話 クライマックスストームの前の静けさ。
現れたのは、
セミディアベル公爵と、
ゼンドート伯爵。
センは、重たい体に喝を入れて、どうにか立ち上がると、
「ぜ、ゼンドートとセミディアベル……な、なんで……ここに……ここは、都市の外だぞ……なぜ……」
「そこに山があるからさ、センエースくん」
センの疑問に対し、まるでファントムトークのように答えるセミディアベル。
「……なぜ、俺の名前を知っている?」
猿の17番は、平民になった際、『セン』という名前で登録している。
だから、『セン』だけなら知られていてもおかしくないが、
真名である『センエース』の名前は知らないはず。
「登山予定の山の名前ぐらいは把握しておくのが礼儀だろう?」
と、まったく何の答えにもなっていない戯言を口にするセミディアベル。
その隣にいるゼンドートが、一歩前に出て、
「セミディアベル公爵、その『人をおちょくったような喋り方』は辞めた方がいいですよ。品位を疑う」
「品位というのは、疑われて初めて価値をえるのだよ、ゼンドートくん」
「テキトーなことばかり言わないでいただきたい」
ため息交じりにそう言ってから、
ゼンドートは、センの方に向かってゆっくりと歩き、
「セミディアベル公爵から話は聞いている。僕を殺すために裏で色々とやっていたようだな」
そこで、センは、反射的に、神眼モノクルでゼンドートの存在値を測定する。
その結果……
「……ご……5京……」
ゼンドートの存在値は5京。
隣にいるセミディアベルの存在値も同じく5京。
先ほどサイコジョーカー12時間モードを使い、やっとのことで倒したエルファ・オルゴレアム……その5倍という、信じられない強さ。
ちなみに、エルファを倒したことで、センは莫大な経験値を手に入れたわけだが、
それでも、現在のセンのMAX出力は7500兆程度。
すさまじく強くなっているわけだが、目の前の二人の悪魔と比べたら、だいぶ心もとない数字。
センは、脂汗をかきながら、ゼンドートに、
「どうやって……そんな数字を手に入れた? お前の存在値は、ちょっと前まで、『100ちょっと』だったはずだろ」
「なぜ、僕が、それを貴様に説明しなければいけない?」
「……」
と、そこで、セミディアベルが、
ニタニタ笑いながら、
「まあまあ、そう言わずに、教えてあげればいいじゃないか、ゼンドートくん」
「……どうしても教えたいのであれば、あなたがそうすればいいでしょう」
「ははは。君は気難しい男だねぇ」




