141話 イカれた難易度。
141話 イカれた難易度。
そんな地獄を背負いながらも、
センの『殺気』にはわずかな揺らぎもなく、
「――龍閃崩拳!!!」
バッキバキに仕上がった阿修羅のような顔で、
センは、特大の拳を魔王の胸部に叩き込んだ。
その結果、塔魔王の全身が『落とした豆腐』みたいに、
グシャァアア!!
と、盛大に砕け散った。
魔王の死を確認する前にサイコジョーカーを解除。
慎重を期すのであれば、魔王の死が完全に確定するまで維持するべきだが、
しかし、とにかく、コンマ1秒でも早く解放されたくて仕方なかった。
根性の鬼であるセンエースに、そう思わせるほど、
サイコジョーカーのエグ味はハンパじゃない。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ……うぇ……ぉえ……く、くそ……今の出力じゃあ、サイコジョーカーなしでの討伐は不可能に近い……ふざけた難易度しやがって、畜生……」
解除したあとも、余韻でのたうち回っているセンに対し、
17番が、
(よく、サイコジョーカーなんて使えるね……ボクじゃ、絶対にムリだ)
「はぁ……はぁ……17番、お前も使ったことがあるのか?」
(うん、あるよ。拡張パーツは、地下迷宮の神器にもあるからね)
「……なるほど」
(試しに1秒だけやってみたけど、ボクは秒で気絶した……以降、二度と使わないと決めた)
「ゼンドートとの決戦でも使わなかったのか?」
(当たり前だろ。使ったら気絶するものを、大事な闘いで使えるわけがない)
「……」
(……なんだよ)
「使えば勝てたかもしれないのに、負荷がしんどいから使わない……ってのは、どうなんだろうなぁ」
(人の話、聞いてる? 使えば気絶するんだよ。サイコジョーカー状態で元気に戦っているのが異常なんだ。君はおかしい)
★
《雅暦1001年7月30日昼》
ここ数日、センは、ひたすらに、塔魔王と闘い続けていた。
現時点で、獲得したカギの合計は99本。
ようやく残り1本というところまでやってきた。
ここまで長い道のりで、様々な紆余曲折があった。
――50本目までは、なんだかんだサクサクいけていたのだが、
70本を超えた段階から、塔魔王の肩書きが『大魔王』となり、
『存在値が増えた』のは勿論として、
『生命力がケタ違いに爆上がり』してしまった。
そこが膨張ピークで、以降は緩やかに強化されるだけ……かと思いきや、
90本目で、また革新的エヴォリューションが起こり、
塔魔王の肩書きは『超魔王』となり、
……存在値も生命力も、さらにドカンと跳ね上がった。




