127話 お遊戯の時間だ。
127話 お遊戯の時間だ。
「……いいだろう。受けてやってやる。喜ぶがいい。貴様のような落ちこぼれが、この超エリートに遊んでもらえるんだから」
などと、まったく意味のない言葉を口にしつつ、センは巨大な塔の中へと足を踏み入れた。
塔の中に入ると、広いフロアに出た。
天井は、高さ5メートルぐらい。
フロアの中央には玉座と、センをジっと睨んでいる、ガンギマった目の魔王。
センは、反射的に神眼モノクルで、魔王の数値を確認する。
「……『存在値200万』……か。ずいぶんと、おはしゃぎあそばされている数字だねぇ。こちとら『存在値9』なんだが」
などとつぶやいていると、魔王が玉座から立ち上がり、
センを睨んだまま、
「私を殺せばカギが手に入る」
「そいつは驚いた。あまりに想定外すぎて、ションベン漏らしそうだ。……『そうじゃないかと予想していた点』に目をつぶればな」
「しかし、貴様では私を殺すことは不可能だろう」
「俺の存在値9だから?」
「そうだ。貴様は脆弱すぎる。私の相手は務まらない」
「そうかい……じゃあ、これならどうかな」
そう言いながら、センは、ぐっと腹の下に気合いを入れて、
「……来いよ、毘沙門天。お遊戯の時間だ」
そう宣言した直後、
センの背中に、『神々しく輝く剣の翼』が顕現する。
地下迷宮のダンジョン魔王を殺しまくって獲得した最強アイテム。
――『毘沙門天の剣翼』。
「毘沙門天を使えば、『存在値(出力)』は『1万』ぐらいにまで跳ね上がる。モジュロ演算を使って鼻血を出しながら暗算したところ、200万と1万の間には『およそ3倍ぐらいの差がある』という結論が出たわけだが……そのぐらいの差なら、努力で埋められると、俺は確信している」
(……差は200倍だと思うんだけど)
などとズレたことを言っている17番をシカトして、
センは、全身に気合いをいれていく。
「行くぞ、魔王。殺してやる」
そこから始まった激闘。
存在値200倍の差は、言うまでもなく非常に大きく、
センは、当然、苦戦を強いられた。
「数値だけのハリボテかと思いきや、戦闘力もそこそこ高いじゃねぇか、このやろう」
目の前にいる魔王は、これまで戦ってきたどの魔王よりも圧倒的に強かった。
しかし、だからこそ、センも磨かれていく。
成長速度に拍車がかかる。
この圧倒的絶望がブースターになる。
センエースの全てが波動をもって沸騰する。
「――虹を集めた虚空。玲瓏な蒼穹。幻想の戒光」




