117話 キラキラとまたたく。
117話 キラキラとまたたく。
――同時に、センの背中へと顕現する、神々しい剣の翼。
翼は神秘的な輝きを放っている。
異様な迫力。
目が眩むほど美しい。
剣の翼を背負うセンは、
静かに目を閉じて、
毘沙門天の波動に包まれていた。
「今日、はじめて背負った翼のはずなのに……実家のような安心感が止まらない」
ふつふつと湧き立つ力強さ。
魂が沸騰しているみたい。
圧倒的な力を感じていると、
――目の前に、小さな指輪が現れて、キラキラとまたたく。
センは、それを、警戒しつつも、手に取りながら、矯めつ眇めつ眺めて、
「ん? ……これは……なんだ? おい、17番。これは聞いていないぞ。この指輪はなんだ?」
(わからない……こんなアイテムは知らない)
「前にコンプした時は? 出なかったのか?」
(そもそも、ボクは、毘沙門天を完成させたことがない)
「はぁ?」
(30個は多すぎる。ボクには、それを集める根気はなかった)
「……マジかよ……なんか、お前が、自信満々に毘沙門天がオススメだって言うから、てっきり、何度もコンプしてんのかと……てか、お前、毘沙門天は、強力な剣翼だって言っていなかったか?」
(毘沙門天の剣翼に関しては、秘密の宝物庫に『文献』があるんだよ。ボクは大公まで出世したから、秘密の宝物庫に入ることもできた)
「その文献とやらに、この指輪のことは?」
(書かれていなかった。……『地下迷宮に眠る宝の中で最も強大な力を得られる』という情報しかなかったんだ)
「……ふむ」
と、17番の言葉に相槌を打っていると、
――そこで、センの脳内に、声が響いた。
『毘沙門天パーツを全て揃えし者よ。コンプリートボーナスとして、【旅立ちの指輪】を授けよう』
脳の奥がザラつくような声。
電子音的……というのが最も近い表現かもしれない。
「旅立ちの指輪ねぇ。……特に大きな魔力は感じないが……」
と、センがつぶやいていると、
脳内に響く声が、また、
『その指輪を装着し念じることで、この巨大都市ユウガの外にある【進入禁止エリア】に瞬間移動することができる』
「……へぇ……」
と、つぶやきつつ、
センは、ぶつぶつと、
「……『外の探索』は『ダンジョン神器を全部集めてからにしよう』と思っていたが……進入禁止エリア……そんな心が躍ってアンコールをわかすようなワードを提示されてしまえば……いかないわけにはいくまい」
そう言いながら、センは、指輪の力を発動させようとした……が、
そこで、17番が、
(まて、セン)




