116話 逆。
116話 逆。
そう言いながらも、センは、17番の指摘通りにパズルを組んでいく。
「おい、17番。俺は、『このピースをどこに差し込めばいいか完全に分かっている』……が、慈悲深く高潔な俺は、お前にもチャンスをやろうと思う。さあ、お前の可能性を魅せてみろ。これはどこにぶちこむべきだ?」
(右斜め下からはめこめばいけると思うよ)
「まだまだだね。けれど、半分は正解……とだけ言っておこうか」
そう言いながら、17番の指示通りにハメこもうとするが、なかなかうまいことはまらず、
「おぃいい! はまらんぞ!! 騙しやがったな、カス、ぼけぇえ! おちょくってんのか、てめぇえ! タイマンはるか、こらぁあああ! 表出てかかってこい、あほんだらぁあ!」
(もっと斜めから……もうちょい……その角度……ほら、入った)
カチっとハマったのを確認してから、
センはニコリと微笑んで、
「……もちろん、わかっていたとも。いまのはお前を試したんだ」
(なんか……魔王討伐隊の試験を思い出すね。あの時とは立場が逆だけど)
★
(で、それが最後で、上を――)
「うるせぇ、ガタガタぬかすな。見えてきたところだ……命の答えってやつが」
(最後のピースをはめるだけなら、年少の園児にもできそうだけれど……それが命の答えでもいいの?)
センが最後のピースをはめると、ガタガタの球みたいな形になった。
球体の表面が微かに震え、
内部から光が漏れているように見える。
「やった。完成だ! 俺一人で完成させた! 俺一人で!!」
(……そうだね。現状、ボクと君は一人の人間と言っても過言ではないから、一人で解いたと言っても間違いではないよね。序盤中盤終盤、隙がなく支援してきた自覚があるけど、そんなことは関係ないよね)
などとゴチャゴチャ言っている17番。
すると、そこで、完成させた球が、パァと淡い光を放つ。
空間に温かい風が流れ、
辺りが柔らかな光に包まれる。
そして、その玉から、ファサァっと、『メタリックなワシの翼』のようなものが生えてきた。
翼は光沢があり、微かに音を立てて広がる。
翼の生えたガタガタ玉は、センの手の中からフワリと飛びあがると、そのまま、センの胸部へと飛び込んでいく。
センの胸元に触れると、温かさが一気に広がった。
そして、そのまま、スゥっとセンの中へと溶けていく。
身体の芯から力が湧き上がってくるような感覚がセンを包む。
その直後、センの心臓が、ドクンと激しく脈打つ。
意識が飛びかけるほどの脈動ののちに、胸の内側から放射状に光が走った。




