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51話 こうして、また、神は虚像に戻る。


 51話 こうして、また、神は虚像に戻る。



 ジャミが辿り着いた『神の領域』は、別格の世界。

 みな、ジャミを通して、神の領域、その凄まじさを感じとった。

 これほどの力があれば、なんでもできるだろうと、誰もが思った。


 これほどの力があるのであれば、

 神帝陛下の声――『ゼノリカの旋律』を『表現』することも可能なのでは?

 あの心が満たされる輝きも、震えるような威光も、全て、三至が創り上げたものでは?


 『神帝陛下が実現する』と考えるより、そちらの方がよっぽど現実的。



 ジャミが壁を超えた事で、九華の面々は、神帝陛下という虚像に疑念を抱き、

 同時に、神の領域に、いち早く辿り着いた三至への敬意を新たにする。


 状況証拠を通じて、アルキントゥ・サトロワス・テリーヌの三名は、『これほどの力を得たジャミ』よりも『三至天帝』の方が高みにあると理解できた。

 三至のぶっとんだ高みが、ジャミを通して明確になった。


 そして、結論。


(((やはり、神は存在しない。というより、三至の方々が神だった)))


 神帝陛下を偽造した三至天帝に対して、ここにいる誰も、不快感などは抱いていない。

 『そうしなければいけない理由があったからだ』と『理解できるだけの頭があるから』である。


(((我々も、弛まぬ訓練を続けていれば、いつか、ジャミのように、三至の方々に導かれ、この『次なる領域』に辿りつけるだろう)))


 サトロワスたちは、『ジャミを開いたのは、神を模した三至である』と結論付けた上で、


(((時間はかかるだろうが、我々なら、必ずいつか辿りつける。だが、その際には、強大な力を得た事により勘違いする可能性を考慮しなければいけない。強くなり過ぎた事による勘違いは、いつでも起こりうる。だからこそ、我々が新たな力を得る前に、三至の方々は、九華に『神』を『魅』せた。『神帝陛下の意思』という『ゼノリカという概念の根本』を深く再認識させるために)))



 認識が、現実という常識に区切られて、整えられていく。

 そして、神帝陛下は、彼・彼女らの中で、また『虚像』に戻る。


 神帝陛下に注がれていた敬意は、霧散するワケではなく、

 ただ、『三至への敬愛』に差し替えられる。


 ちなみにいっておくと、九華の面々は、自分たちが辿り着いた『結論』を、ジャミとバロールにぶつけたりはしなかった。

 その理由は色々あるが、一言でいうと、『空気を読んだ』のだ。


 ――そんな、認識の変革、九華内での『神に対する温度差の極端化』が進んでいた中、


 カティが、




「……ん? なに?」




 急に、声をだした。

 周囲の九華は、カティの反応から、カティに『通信の魔法』が入ったのだとすぐに気付く。


「ほう……なるほど。わかった。すぐに向かう」


 そう返事をすると同時、瞑想を終了させて立ちあがるカティに、バロールが、


「どうした?」


「百済から救援要請。禁域に出現した『壊れた怪物』が『バカみたいに暴れている』ってさ。そこそこ強いらしくて、三人がかりでも、てこずっているっぽい。……ちょっと行って殺してくる」


「カティさん一人で大丈夫か? 俺もついていってやろうか?」


「あんたという、『ハンパない足でまとい』がいても、まあ、普通に勝てると思うけど、無理に面倒を抱え込むのは趣味じゃないから、遠慮しまーす」


「あぁん?」

「あ?」


 バチバチに睨みあっている二人に、

 ――パメラノが、


「カティ、正式な救援要請がきておるんじゃろう? さっさといかんかい」


 ピリっとした一言で叱られたカティは、


「……はい、すいません……」


 ガッツリと落ち込んだ顔で、即座に瞬間移動を決めた。




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