108話 勘違いが止まらない。
108話 勘違いが止まらない。
アバターラは、トバヒトが、怯えて逃げまどうものだとばかり思っていたが、
『どうやら、メッセージを受けとってもらえたようですね。あなたが想像通りの賢者でよかった。魔王使いのアバターラさん』
極めて冷静な態度で、そんなこと言われて、アバターラは、首を傾げ、
(なんのことかわからんが、褒められているみたいだし、一応合わせておこうか)
という考えのもと、
『まあな』
と、テキトーな返事をした。
まさか、アバターラが『そんな雑な性格をしている』とは夢にも思っていないトバヒトは、
にっこりと、本心からの笑みを浮かべて、
『ソレでは今後の計画をお話しします』
(なんか、この人、勝手に話をグイグイ進めていくんですけど。今から俺に潰されるって理解してないのか? いや、そんなわけないよな。だって、こいつ、悪党だが、セミディアベルが認めている優秀な貴族の一人だし……)
『あなたと私が手を組めば……この都市を支配することなど容易い。あなたは裏から……私は表から……この都市の全てを、完全に牛耳っていくのです』
(その役目は17番が既にやってんだよなぁ……)
『アバターラさん……あなたは、私のことを、【優秀な悪】だと認識していることでしょう。けれど、その認識は甘い。私は、あなたが想像するよりもはるかに優秀だ』
『そ……そうっすか……それは良かったですね』
『ともに、この世界の全てを支配しましょう』
『……あ、はい』
勢いに押されて、ついオッケーを出してしまったアバターラ。
心の中で、
(……まあいいか。ちょうど、この前ダンジョンで入手したアイテムを試したかったところだし……トバヒトをとことん利用して、また、17番の爵位を上げてやる)
★
『11日』の朝。
トバヒトは、アバターラの魔王召喚を効率よく利用した、
『自分より上の地位の人間を皆殺しにしましょう大作戦』
を提案してきた。
なかなか良くできた計画だったが、しかし、
アバターラは、
『そんなまどろっこしい事をしなくても、アレをつかえば脳筋ゴリ押しでいける』
『アレ……とは?』
『ぱぱぱぱっぱぱ~、オメガブレードぉ~』
『……な、なんですか……この凶悪なオーラを放つ剣は……』
『うぅふ~ふ~ふ~、コレを使うと、トバヒ太くんでも、ジャイ○ンをなぶり殺しにできるよぉ』
オメガブレードは、一日に『30分』だけ【最魔王化(魔王と同等の肉体スペックを得る)】の魔法が使えるようになる覚醒神器。
ただし、使えば使うほど、使用者の『オメガレベル』が上がってしまう。
センエース日本編、たくさんの応援、本当に感謝<m(__)m>
今日からは一日1話投稿にしようと思っていましたが、
日頃の感謝と、7周年記念の余韻もかねて、
今日はもうちょっとだけ投稿する予定!




