100話 9日。
100話 9日。
『ふむ……なるほど。……素晴らしい成果じゃな。しかし、ぬしのところだけ、ちともうけ過ぎじゃ。儲けることが悪いと言っているわけではない。市場のバランスが崩れることに問題があると言っておる。その意味がわかるな?』
『それでは、こちらを納めさせていただきます』
そう言って、17番は、儲けの一部をパメラノコットに差し出した。
最初から、上納金を出すつもりでいた。
世の中は持ちつ持たれつ。
長いものには巻かれておくべき。
権力者とはウィンウィンの関係を築く事。
それが社会で成功する数少ない正攻法の一つ。
それに、パメラノコットやラストローズなら、上納金を、うまいこと、世のため人のために使うだろうという、まっとうな打算もあった。
ゴミに税金の管理を任せると社会が壊れるが、真っ当な人間が政治の中枢にいるのであれば、税金を払うのも悪くないと思える。
『閣下……すべては、この都市の防衛のために行ったこと。都市に還元するのは当然とのコトと心得ます。どうぞ、お納めください』
『ほう。なかなか見上げた覚悟じゃ。褒美として、昇格を約束しよう』
『ははーっ! ありがたき幸せ』
――結果、17番は、『子爵』に昇格した。
異例すぎるスピード出世。
昇格した17番は、『西南西エリア5~10』の統治を任されることになった。
そのあおりを受け、元々『5~10』を統治していたトバヒト子爵が、17番の補佐に回るという形に落ち着いた。
そのことで、トバヒト子爵と確執ができることになった。
プライド高く、狡猾で、悪意に満ちたトバヒト子爵の怒り……本来であれば、絶対に買ってはいけないものだが、しかし、『魔王使いの17番』にとっては、虫のさざめきに等しい。
キーキー鳴くなら踏みつぶすだけ。
★
『9日』の朝。
順調に出世していっている17番のもとに、
悪魔のセミディアベル公爵がやってきた。
『実は、有能で天才で無敵で完璧で高潔な君にぜひ任せたい仕事があってねぇ』
公爵の無茶ぶりで、『ヤクザの相談役・顧問』という地位を任されることになった。
この巨大都市ユウガには、『大きなヤクザ屋さん』が全部で三つ存在する。
・『魔王組』「最も有名で勢力的に最大派閥」
・『龍王会』「魔王組と同等の規模を誇る反社。魔王組は経済ヤクザ系。龍王会は武闘派ヤクザ系』
・『鬼王一家』「ほかの組より規模は小さいが、存在値100を超えている超人『鬼の14番』が家長を務めている、実に気合の入った組。一応、ヤクザ屋さんではあるが、行き過ぎたヤクザを威圧と暴力で抑えつける『マル暴』のような役目を担っている。鬼王一家に属するヤクザが、一般人相手に反社会的行為を行った場合、14番に殺される。14番は、その気になれば、魔王組と龍王会を単騎で壊滅することも可能な超人の中の超人」




