99話 相手の脳容量を圧迫して相手の言論を封殺する手法。
99話 相手の脳容量を圧迫して相手の言論を封殺する手法。
『ポルは伝統的な方法で鍛えていたけど、僕は鉄鉱石の選別をより精密に行い、温度管理を徹底することで、より均一な硬度を実現できるようにしました。あと、どうやら、ボクには、火加減や風を使って炉の温度を調整し、金属の質感を変えるスキルが高いみたいで、マジックアイテム化させるのも、かなり容易に出来ております』
実際に鍛冶師として長いこと働いてきたので、
『それらしいこと』を口走るだけなら難しくない。
17番は、『相手の脳容量を圧迫』して『判断力を殺しにかかる』かのように、
マシンガンの勢いで、バァっと、
『あとは、刃物の鋼を鍛えるとき、ポルは手作業でひたすら叩いていたけど、僕は自動ハンマーの魔法が使えるようになるマジックアイテムを作成し、技術者全員に装備させ、交代制で運用しております。叩く速度を一定に保つことで、金属の結晶構造を均等に保つことができたんです。これにより、武器の鋭さと耐久性が格段に向上しました。それと、量産体制を取るために、まずは、効率的な組織作りが必要でした。工房には、ボク自らが厳選した一級の技術者を配置し、その下に、手足となる技術者を複数名つけて、素材の選別から加工まで分業化し、各工程を専門家に任せる形にしました。ほかにも、鉄鋼の調達ルートは厳密に確保し、継続的に安定した供給を維持しております。さらに、作業を効率化するために、熱処理の過程で焼入れと焼戻しを自動化するシステムを導入し、手作業に頼らずとも均一な品質の製品が安定的に生産できるようにしました。これにより、今では一日で数百本の武器を製造することが可能になったんです。量産ラインでの精度も高く、作業の過程を全てデータ化して管理することで、どんな武器も指定した品質を確保できるようになっています。他にも――』
『いや、もうよい。わしは鍛冶に詳しくない。聞いても分からん。ちなみに、その技術というのは、他者にも流用できるものか?』
『無理でしょうね。ボクの監督下にないと。ボクのアイテムマスターとしての技術と、指揮官としての技能があって、はじめて、工房に命が宿るのです』
アイテム制作は『牡蛎の10番』に完全丸投げ状態で、
17番は、100%ノータッチだが、
それでも、これだけ嘘八百を張れる……というのが、
ある意味で、17番の才能なのかもしれない。
たんに性根が腐っているだけかもしれないが。




