86話 もしかしたら、魔王にも勝てるんじゃないかな?
86話 もしかしたら、魔王にも勝てるんじゃないかな?
『17番、お前も、大概だけどな』
(ボクは魔王というチートを使っているだけ。……きみとは違うよ、ミケ。君はマジでおかしい)
『公式記録が、お前に負けたままなんて……流石に俺のプライドが許さない』
(死ぬほど才能があって、アホほど努力してきた君に……魔王召喚というチートで勝つのは、流石に、ちょっとだけ申し訳ない気がするなぁ。……まあ、別に、だからって、わざと負けてあげたりしないけど。それとこれとは別なんでね)
恥も外聞もなく、がっつり容赦なく、マパネットを使ったので、当然、17番が勝った。
敗北したミケは、地面を殴りつけながら、
『くそぉお! なんでだよ!! あんなアホより、絶対に俺の方が強いのに!』
(そうだね。腹立つけど、間違っていないよ。君はボクに負けたんじゃない。魔王に負けたんだ。だから、何も恥じる必要はない。恥じなければいけないのは、チート以外に何もいいところがないボクだけど、でも、そんなボクだからこそ、この勝利に、あまり恥を感じない。勝利こそすべて)
ミケと、ギリギリの死闘を演じたことで、なんとか疑われずに予選を突破した17番。
予選終了後、ミケは、悔しさのあまり、壁に頭をたたきつけながら、
『なんで、こんなアホに負け続けないといけないんだよぉおお! どちくしょぉおおおおお! 次は絶対に勝ってやる! これまで以上に! 俺の全部を磨いて!! 絶対にお前を殺す!』
『幼馴染のよしみで、殺すのだけは勘弁してくれよ、ミケさん』
と、冗談を返しつつも、心の中では、
(マジで、ミケが、これまで以上のペースで強くなっていったとしたら……いつか、本当に魔王にも勝てるんじゃないかな? 流石に、それは無理かな? いや、でも……)
★
大星祭は、この巨大都市ユウガで最も大きな大会……
イメージで言えば、天下一〇道会的なポジションなので、
格式も賞金も破格。
本戦に進んだだけで、17番の平民ランクは、E5から、一気にB2まで跳ね上がり、
かつ、20万の賞金も獲得することができた。
『本戦で1回以上勝てば、最低でもA以上に上がれる……本格的に貴族が見えてきたぞ』
と、ウハウハ状態で本戦に進んだ17番。
★
『24日』の昼。
大星祭は、いつも、午前中に予選をすませ、昼休みをはさみ、午後から本戦となる。
『さすがに、ボクのレベルで優勝するとおかしいから……目標は【準決勝敗退】にしておこうかな。うん、そのぐらいがちょうどいい』
自作コミカライズ版34話をご購入いただいた読者様へ。
本当にありがとうございます!!!
ブーストありで買ってくださった読者様……その応援のお気持ち、しっかりと受け止めております!
『もっと頑張れ』というメッセージだと心の芯で受け止めて、ここからも必死に頑張っていく所存!!




