83話 23日。
83話 23日。
17番は、『アバターラが何をするつもりなのか、さっぱり分からなかった』が、
『アバターラなら、うまいことやってくれるだろう』と、
『自分よりもはるかに優秀な分身』に、『全て』を任せることにした。
弾丸のように飛び出していったアバターラの背中……その残像を見つめたまま、
17番は、ボソっと、
『ダンジョン探索も、アバターラに丸投げでいいんじゃないかな……うん……それがいい』
★
『23日』の朝。
アバターラは、さっそく、ギャラリワンドを試してみようと、
『魔王組』の事務所を襲撃した。
そこでは、ちょうど、『ヤクザを上手に利用して富を得てきた中流貴族』が、
『ヤクザの大幹部』に『商売敵を殺してほしい。金なら積む』と依頼しているところだった。
『まずは手付金として、私の奴隷を好きにしていい。このガキは、相当に優秀だぞ。……その上、こんな日のために、生娘のままでとっておいた。あんたは、処女であれば高値をつけると聞いている』
まだ年端もいかない少女奴隷を差し出した中流貴族。
己のゴミみたいな運命に絶望した目をした少女奴隷。
――と、そんな地獄みたいな状況になっているヤクザ事務所に、
アバターラが、暴風のようにダイナミックお邪魔します。
『ひゃっはー! 汚物は消毒だ! 逃げるやつは公害で、逃げないヤツは訓練された産業廃棄物だ!』
まったく中身のない言葉を叫びつつ、
その場にいた貴族とヤクザ数十人を、片っ端からボコボコにして、
ありったけの夢(金品とアイテム)をかきあつめ、
ビビっている奴隷少女に、
『ついてこい。今日からお前は俺の所有物だ。俺の命令に従って死ぬこと。それがお前の、これから先における、たった一つの存在意義』
『あなた……殺される。こんなことして……ヤクザにも、貴族にも追われる……』
震えながら、そんなことを言う彼女に、
アバターラは、
『心配するな。すでに追われている。俺は世紀の指名手配犯だ』
『……ぇ……』
『俺は魔王を召喚できるし、魔王を素手で殴り殺すこともできる』
『ば……バカじゃないの……?』
『こい、ゼラビロス』
そこで、魔王を召喚してみせたアバターラ。
莫大な魔力の波動を放つゼラビロスを見て、
少女は、蛇に睨まれた蛙となった。
『そ、そんな……』
魔王を召喚してみせたアバターラに、
奴隷少女は、あんぐりと口を開けて、プルプル震えながら呆けることしか出来ない。
そんな少女の目を、アバターラは、まっすぐに見て、
『この腐った世界と、絶望的なお前の未来を殺してやる』




