81話 裏ダンジョン。
81話 裏ダンジョン。
『潜影の魔法が使えるようになる指輪』。
ダンジョン神器と比べると劣るマジックアイテムだが、
都市内部では、なかなかの高額で取引されているレアアイテム。
『ああ、なんか、そういう報告も受けていたような、いないような……ちなみに、なんで、ボクの影に入っていたの?』
『ダンジョンにきたかったんだ。より具体的に言えばここ……最終フロアに来たかった』
『……なんで、ここに?』
『ここって、魔王がいなくなったあとは無人の広い空間だろ? ヤクザから強奪しまくったアイテムとかを、ここに隠しておけばいいんじゃないかなぁと思って』
『なんで、それをボクに言わなかった?』
『ちょっと驚かせようと思って。お前が魔王を倒したタイミングで、後ろからわって声をかけたら、ションベン漏らすぐらい驚くんじゃないかなぁとか考えていたんだが、そしたら、魔王が3体も出てきて……いやぁ、影の中で、俺がションベンもらすかと思ったぜ』
アバターラとの会話もそこそこに、
17番は、ダンジョン攻略の報酬である宝箱を開けた。
今回は、『魔王が3体も出てくる』という地獄みたいな難易度だったので、
報酬も期待できるんじゃないかと、ワクワクしていたら、
実際、宝箱をあけると、とんでもなく豪華な演出でキラキラとフロア中がまたたいた。
スマホゲーで、『排出率0,000001パーセントの究極超神レア』でも引き当てた時のような、ギラッギラの演出。
手に入れたのは――
――『裏ダンジョン創造券』
その効果は、『自由にカスタムできるダンジョンを異空間に創り出す』というもの。
製作者と、その身内の者は自由に出入りすることができ、ワナやモンスターを配置することも可能。
ダンジョン神器の中でも、最高クラスのレア度を誇る、文字通りの異次元アイテム。
ほかの神器の場合、同梱されている『説明書』はペラ紙一枚なのだが、
裏ダンジョン創造券の説明書は、電話帳サイズで文字がびっしり書かれていた。
ダンジョンの創り方だけではなく、ダンジョンを成長させる方法や、ダンジョンの上手な扱い方など……裏ダンジョンを扱う上で必要と思われる知識のほとんどが記されていたのだ。
アホの17番も、流石に、『このアイテムがバグレベルの秘宝だ』ということは理解できたようで、
『すごいアイテムだ……イカれている。今まで見た神器と比べても、頭一つ抜けている印象。……これほどの、とんでもないアイテムだったから、魔王が3体も出てきたのかな』




