77話 ゼンドートはマジで優秀。
77話 ゼンドートはマジで優秀。
どうしようかと悩みつつ、訓練へ向かった17番。
その日も、17番は、ゼンドートと多くの言葉をかわし、最終的にはタイマンを張ることになった。
もちろん、ゼンドートはかなり手加減していた。
そうでなければ、一瞬で首をはねて終わりだから。
……タイマンの結果、17番は、『ゼンドートがマジでハンパじゃなく強い』と、より強く激烈に理解した。
ゼンドートから、『数値が高い』というだけではなく、その向こう側にある『本物の質量』みたいなものを確かに感じた。
『マジで、強いですね、ゼンドート伯爵。そのハンパなさ……普通に尊敬します』
『僕という正義の化身が、命の最果てに到っているというのは、この世に生きる全ての善人が望んだ必然。正義は勝つという言葉があるが、あれはすなわち、僕は絶対に勝つし、僕は絶対に正しいということだ』
『……は、はぁ』
『君の成長速度は、なかなか目を見張るものがある。ミケほどではないが……君も決して悪くはない。身体能力もメキメキと上がってきているし、召喚獣も、まだまだ成長するだろう。……どうだ、正式に僕の下につかないか?』
『考えておきます』
当時の17番は、この時、本当に、結構考えた。
ゼンドートは実際、凄まじく有能。
伯爵の中でも最高位であり、将来的に、辺境伯や公爵の地位も見えている有能超人。
そして、ゼンドートは、有能な者には、なんだかんだ寛大だったりする。
ゼンドートの気分次第では、5番のように、問答無用で切り捨てられたりもするが……地雷さえ踏まなければ、それなりに優遇してもらえる。
5番だって、例の事件が起きるまでは、だいぶ優遇されていた。
だから、17番は、マジで真剣に考えた。
この時のルートでは、結局、ゼンドートの下につかなかったが、
別のルートでは、『ゼンドートの配下』になってみたこともある。
★
17番は、基礎訓練で己を叩きなおし、自主トレも精力的にこなして、着々と体力を底上げしていった。
そんな17番を置き去りにするように……『ミケ』が、バカみたいに強くなっていった。
……前日の21日時点で『55』だった存在値は、22日の夕方時点で『62』に上がっていた。
そんなわけあるか、と言いたくなる、爆発的成長率。
存在値60台と言えば、子爵クラスの実力。
3番や7番といった、『貴族に重宝されている最高位奴隷』と同じ。
ミケは、数日前まで、存在値13のクソ雑魚奴隷だったが、
いまや、中流貴族とトントンというところまできてしまった。




