76話 21日と22日。
76話 21日と22日。
――21日の夜。
17番は、『99番』に協力してもらい、ダンジョンで、モンスターを殴ってみた。
『中級モンスター』にも、まあまあダメージを与えられて、17番はたいそう喜んだ。
地獄の基礎訓練をまじめにこなしたおかげで、相手の攻撃が少し見えるようになった。
『いいよ! ボク、いい感じだよ! 回避訓練の成果が出ているよ!』
99番のサポートもありつつではあるが、
自力でモンスターをどうにか倒しつつ下へ下へ。
最上級モンスターが相手だと、流石にきつかったが、マパネットの力を借りれば、どうにか、殴り殺すことができた。
そんな中……『マパネットの妨害魔法で、動きを止めて、99番にしとめさせる』というパワーレベリングを試してみた。
『センに経験値を吸われてしまう17番』と違い、
99番のレベルがみるみる上昇していく。
あまりに強くなりすぎて、怪しまれないか不安だったため、途中で、ちょっとセーブしたぐらい、バンバン、レベルが上がった。
拳を鍛えた17番と、レベルが上がった99番。
なかなか、いいパーティだった。
……とはいえ、流石に、ダンジョン魔王相手では何もできない。
多少強くなったことで、あらためて、魔王の大きさがわかった。
ダンジョン魔王の殺気に対し、17番は、素直に、
『人間が何をしても……これには勝てない。ゼンドート伯爵の気迫もすごかったけど、次元が違う』
『さっさと魔王を召喚しろ、17番。魔王の相手が出来るのは魔王だけだ』
『言われなくても分かっているよ……』
魔王召喚のチートがあれば、ダンジョン魔王を倒すことも容易。
そうして手に入れた神器は『ギャラリワンド』という杖。
『本物そっくりの死体を創り出すことができる』という、なんとも悪趣味な杖だった。
『本物としか思えない死体のレプリカをつくれる神器……か。キモいアイテムだな。こんなもん、何に使えるんだよ……今回はハズレだな』
アホの17番は、そう思ったのだが、
当時、『17番の中にいたセン』は、
(……うまいこと使えば、いくらでも悪さができそうな杖だな……)
と、ギャラリワンドの使い道をあれこれシミュレーションしていた。
★
――『22日』の朝。
アバターラから『ヤクザたちから大量に回収した金の保管場所にマジで困っている』という、報告書を受け取った17番。
『ボクの寮におく? それは危険だよなぁ。魔王討伐隊の寮に、魔王使いのアバターラが奪い取った金品を置いておくというのは……泥棒が警察署の金庫に盗品を保管しておくようなもの……』




