73話 頻発するミス?
73話 頻発するミス?
(……悪いけど、ボクの記憶力だと、今後も、頻繁にミスをすると思う)
「ナメやがって……てか、これ、何の薬だ?」
(たぶん……『副人格排出薬』かな)
「……なんじゃそら」
と言いつつ、センは同梱されている説明書を手に取って、中身を確認する。
「端的に言えば……『飲めば17番を吐き出すことができる薬』ってことか」
(そんな感じ)
「なるほど、なるほど。つまり、別に俺は、お前のミスを責める気は一切ないが……この薬を飲むと、お前が霊体のまま外に出ることになり、お前がとても困ることになる、ということだな、俺は、お前を責める気がないから、これを飲む気は一切ないが……しかし、つまりは、そういうことだな? 責める気は一切ないが。チラッ」
(言っておくけど、ボクを吐きだしたら、魔王召喚が使えなくなるからね。魔王召喚のチートは、ボクと君が一つになって初めてできることだから)
「俺は、別に魔王を召喚できなくなっても困らない……と言いたいところだが、アバターラが魔王をつかえなくなるのは、普通にマイナスだな……今のあいつのチームには、覚醒武器を持った7番と5番がいるし、アバターラも強くなっているだろうから、召喚魔王がなくても、ダンジョン攻略自体はできるだろうが……『ゼンドートとの最終決戦で使えるサポーター』を無意味に減らすのは、ただの悪手……仕方がない。この薬は飲まないでおいてやろう」
そう言ってから、センは、薬をジっと見つめて、
「別に、こんなもん、いらんけど……まあ、一応、もっておくか。17番。俺が、この薬をもっているということを忘れるなよ。これまでと違い、今の俺は『お前に罰をあたえる術がある』ということを頭に深く刻み込め。今後、また、えぐいミスをした時は、魔王召喚が出来なくなることを忘れ、感情的に、この薬を飲むことも十分にありえる」
(……はいはい……)
と、そこで、
センの肩に、『小さなリス(魔王マパネット)』がシュっと出現し、
紙を一枚置いて、シュっと消えた。
中身を確認すると、
「おい、アバターラの方でもミスが発生してんじゃねぇか。毘沙門天パーツじゃなく、『魂魄交換の聖水』を手に入れたって書いてあるぞ。どういうことだ、17番」
(……言っただろう。ボクの記憶力だと、今後もたぶん、似たようなミスをするって。だいたい、100個あるダンジョンのどこにどのアイテムがあるかを、完璧に覚えておくなんて、ボクの頭じゃ無理に決まっているだろ)




