72話 魂が叫ぶほどの絶対的な精神的支柱。
72話 魂が叫ぶほどの絶対的な精神的支柱。
これまでの『関係性(99番は17番のことを、格下のゴミだと認識していた)』があるので、『まっすぐな本音を素直に口にすること』は、まだできていないが、このままだと、いずれは、心底から忠誠を誓い、態度も、その忠誠に沿ったものになりそうだ……などと、99番は心の中で思う。
不思議なもので、センエースの側にいると、
それだけで『力』が湧いてくるのだ。
心が温かくなり、『なんでもできる』という強い万能感に包まれる。
……それも、『自分は無敵だ』と調子に乗る類の『幼稚な万能感』ではなく、
『自分はやれば何でもできるのだから、成すべきことを正しく成さねばならない』という、『使命感のある理性的な万能感』がふつふつと湧いてくる感じ。
センエースの側で、センエースの命令に従い、センエースに尽くすこと。
それが何よりも幸福で充実していることである……と、魂の芯が叫んでいる。
暖かい幸福感に包まれている99番に、
センは、
「通行証が集まったら、アバターラも含めて、全員で、毘沙門天パーツを集めるぞ。俺が今夜中に15個ぐらいクリアするとして……残り14個を、『99番&3番チーム』と『アバターラチーム』と『ラストローズ&14番チーム』の3組で分けると、一チーム4~5個……ま、今夜中に、ギリ、いけなくもないか……」
前提を踏まえると、頭おかしい皮算用。
しかし、どのチームも、『飛びぬけて有能な面々』が集まっているので、
ただの皮算用で終わらず、本当にやり切ってしまうかもしれないという期待感がある。
センは、気合を入れなおすように、ゴキゴキっと関節を鳴らしてから、
「じゃあ、俺は次のダンジョンに向かうから、そっちはそっちでシッカリよろしく」
ササっと命令を出してから、
センはダンジョンへと向かった。
その背中を、99番は、
見えなくなるまで、ジっと見つめていた。
★
サクっと、次のダンジョンもクリアしてみせたセン。
宝箱をあけて、『毘沙門天パーツ』を回収しようとしたのだが、
「……ん?」
宝箱の中に入っていたのは、毘沙門天パーツではなく、
謎の液体が入った小瓶。
「おい、17番。どういうことだ? ここには、毘沙門天パーツがあるんじゃなかったのか?」
(ごめん。間違えた。毘沙門天パーツは、このダンジョンじゃない)
「おいおい、ボケカス、ごらぁ。ごめんなさいで済む話じゃねぇぞ。歯ぁ食いしばれ。そんな大人、修正してやる」
明日、自作コミカライズ版34話を配信します!
それを記念して明日は一日10話投稿!




