62話 恩には恩を返すのが閃光のメソッド。
62話 恩には恩を返すのが閃光のメソッド。
(そんなことは、わかっているよ。もちろん。けど、嫌なものは嫌なんだ)
「お姫様かっ。ナメやがって……」
(頼む)
「頼むって言えば何でも通ると思うなよ。……めんどくせぇ」
そこから、センは、自分のことを『猿の17番』だと認識している他者に会うたび『今後はセンと呼んでくれ』と言うハメになった。
なんだかんだ、恩義に対しては礼節で返す閃光。
……もともと、『平民になって以降もナンバーネームを名乗る』という方が異常なので、『呼び方をセンに変更すること』に対して、文句を言う者は誰もいないだろう。
――そんなこんなで、秒で最下層までたどり着いたセンは、
(仮に、今、3番たちが、別ダンジョンで魔王と戦っているとして……俺がここの魔王を倒したら、その瞬間、3番たちが闘っている魔王が強くなるのかな?)
などと、ふとした疑問を抱きつつ、
『玉座に座って、自分を睨みつけている魔王』に、
ビシっと、人差し指をさして、
「今からお前を殺すけど、恨むんなら、てめぇの運命を恨むんだな。この俺のように」
と、宣言してから、
魔王が立ち上がるのを待たずに、
「死ね、ごらぁああ! 閃拳!!」
問答無用の必殺技をお見舞いしていく。
そうして始まった魔王VSセンエース。
たくさんダンジョンをクリアしたことで、
魔王もだいぶ強くなっているが、
終始、センが有利を取っている。
センが魔王をボッコボコにしている途中で、
「ん?」
センは気づく。
明確に、ちょっとだけ、魔王の存在値が上がった。
(もしかして……3番たちが、別ダンジョンの魔王を倒したのか?)
などと思っていると、
センの右肩に、リスに変身しているマパネットがヒュっと現れて、
一枚の紙をソっとおいて消えた。
センは、魔王の動きを警戒しつつ、
紙に書かれている情報に目を通す。
内容は要約すると以下の通り。
・魔王を倒した。
・宝箱から『終焉の海』という魔王特効神器をゲット。
・魔王を倒すためには、まだ、パリピーニャたちの協力がいる。
・将来的には魔王召喚を使わず、単騎で魔王を殺せるようになりたいです、まる。
「ああ……アバターラの方か」
ボソっとつぶやくセン。
3番と99番のチームだけではなく、
アバターラも、同時進行でダンジョン攻略をさせている。
『魔王使いとしてお尋ね者になっているアバターラ』が直でダンジョンに挑むと大問題になるので、『蝙蝠の7番』の『影』に潜伏する形でダンジョンに入ってもらっている。




