61話 俺はトゥルー以外を認めない。
61話 俺はトゥルー以外を認めない。
センの中でセンの言葉を聞いていた17番は思う。
(最終的には、9番も、3番や99番と同じで……ボクより、センエースの方に懐くんだろうな……3番たちと同じで、ボクに対してよりも……よっぽど深く……)
ズキリと、心のどこか、とても深い部分が痛んだ。
血を吐きそうだった。
(来ない方が良かったかなぁ……)
と、泣きそうな顔で、自嘲していると、
9番が、
「違う。センパイじゃない」
ハッキリと、センにそう言った。
その瞬間、17番の目に、おぼろげな火がともる。
9番に対し、センは、
「……あんなカスと一緒にされても困るぜ」
と、あえて、そんなセリフを選択した。
9番が、心配そうな顔で、
センに、
「センパイを……返して」
そう、本気で懇願する様を見て、
17番は、涙を流した。
霊体だけになって、体をなくしているけど、
思いっきり泣けるのだと……この時、気付いた。
今まで、泣きたくなっても涙も血もでなかった。
けど、今、確かに、自分が号泣しているのを感じる。
(ぁあ……ぁあああ……)
自分の中で、やかましく泣いている17番を感じながら、
センは、
9番に、
「言っただろ。8月になれば帰ってくる」
「ほ……ほんとに?」
「俺はトゥルーエンド以外を認めない」
「……」
「ゼンドート以外は誰も死なない。ゼンドートと……あと、セミディアベル以外は、全員が救われる。そして俺は自由になる」
「……」
「じゃあな、9番」
そう言って踵を返すセン。
出て行こうとしたところで、ピタっと立ち止まり、
「9番、お前いい目をしているな。合格だ。いいハンターになりなよ」
「はんたー……?」
「気にするな。ただのテンプレだ。他意どころか、意味すらない」
ニっと、最後に笑ってから、
センは、ダンジョンへと向かった。
★
9番とのアレコレを経たあと、
新しいダンジョンに挑んだセン。
下へ、下へと、駆け下りている途中で、
17番が、
(セン。少し話がある)
「今、忙しい。7月一杯、用事があるんだ。8月になってから聞く。それまでは黙って便器でも拭いてろ」
(みんなに、君のことを17番と呼ばせるのはやめてくれ)
「本当に人の話を聞かんやつだ」
ため息をついているセンに、
17番は続けて、
(17番はボクだ。君じゃない)
「……お前が、頑なに『猿の17番って名前の方がカッコイイ。今後もこの名前で行く』とか、ワケの分からんイカれたコトをのたまうから、俺は今も17番呼ばわりされてんだろうが。最初から登録ネームのセンで呼ばせておけば――」




