59話 ボクはボクに失望しかしていない。
59話 ボクはボクに失望しかしていない。
疲労はしている。
記憶はともかく、17番がタイムリープを繰り返したのは紛れもなく事実。
だから、魂魄に、疲れはたまっている。
けど……
(多分だけど、そういう『タイムリープによる重荷』とかも、全部、センエースが『経験値と一緒に背負ってくれた』んじゃないかと思う)
その推測通り。
17番がタイムリープによって積み重ねた疲労も孤独も苦痛も絶望も、
その大半は、実のところ、センエースが引き継いでいる。
100%全部ではないが、99,999999999999999%以上は、センエースが背負っている。
経験値と同じで、センエースや17番の意思どうこうは関係なく、そういう風になっているのだ。
(センエースなら、タイムリープで積み重ねた絶望を背負いながら闘うことも……まあ出来るだろ。センエースに出来ないことは、たぶんない)
センエースは別格。
どんなアホでも流石に分かる。
(ボクはボクに失望しかしていない。……ボクは、『猿の17番』に一ミリも期待していない。……なんだったら、『月光寺時一』の時から…………『最初』から、ずっとそうだった気がする。ボクはボクを信じたことなんてない。だって、コレ、ゴミだもん……バカでグズでノロマで運動神経も微妙なカスだもん)
心が止まらない。
理性が息をしていない。
(生きることに意味なんてない。もしかしたら、センエースにはあるかもしれないが、ボクにはない。ボクだけじゃない。大半の人間にとって、命は、誰かの付属品……付属品ならまだいい。大半はただの養分。学生の時は、クラスカースト上位の養分。社会に出たら社長の養分。ジジイになったら政治家の養分。誰かの家畜として食い尽くされて終わる。それが人生。そして死んだら無。無、無。)
……あまりにも深くマイナス面に落ちてしまったことで、
寂しさが暴走してしまう。
だから、つい、
(センエース)
(あん? なんだ?)
――『3番&99番のチーム』をダンジョンに派遣してから、
自分も別のダンジョンに向かおうとしているセンに、
(9番が……心配しているかもしれない。……全然、家に帰っていないから。だから……あの子に、一度、ボクの顔を見せてやってほしい)
(アホか。そんな暇はない。俺は9番なんかどうでもいい)
(……じゃあ二度と手を貸さない)
(そもそも、この先で、お前の助けなんかいらん。器になってくれたことと、タイムリープでゼンドートに関する情報収集をしてくれたことには感謝しているが、そのかわり、俺は、お前のかわりにゼンドートを始末する。それでチャラだ。貸し借りはない)




