57話 センエースなんて、ただ天才だっただけ!
57話 センエースなんて、ただ天才だっただけ!
『有能な連中に頼りにされた』のも、
『9番に慕われた』のも、
……もとをたどれば、全部、結局、センエースの力なのに……
エグゾギアがなければ、17番は、何もできない。
エグゾギアを鍛えるための経験値を多く獲得できるのはセンエースの特異体質のおかげ。
そもそも、センエースの『魔王召喚』の力がなければ、エグゾギアをゲットできない。
センエースがいなければ、17番なんて、どこからどう見ても、ただのゴミ。
(ボクなんかいらない。……センエースさえいれば、それでいい。……ボクは、ただの入れ物。『霊体になっていたセン』を収めるための器……それ以上でも、それ以下でもない……)
自分が無能だからこうなっているとはいえ、
誰からも必要とされなくなった現状に対し、
『燃えるような心の痛み』と、『センに対する確かな嫉妬』を抱く。
(みっともない。ばかばかしい)
そう思うのだけれど、
でも、感情は理性じゃ止められない。
比較的強めの自制心で、どうにか、自分の黒い炎を抑えつけようとするのだけれど、
でも、
(センエース……きみなんか、結局、『圧倒的な武の才能』があるだけだろ。産まれついての絶対的なカリスマがあった……それだけだろ。努力が出来るのだって才能だ。……全部、ただの生まれつきじゃないか。ただそれだけなのに、なんで、ボクは何もなくて……君は全部をもっているんだ……君とボクの差なんて、生まれつきのギフト以外、何もないだろ)
あふれ出てくる。
センエースに対する感情。
『みっともないから、心の中だけとはいえ、ダサいことを叫ぶのはやめろ』と、
理性的な17番が叫ぶが、
本能的な17番が、ずっと、
(ここまで頑張ってきたのはボクだ! 何度も、何度も、タイムリープをして! 何度も血反吐を吐いて、苦しんで、あがいて、もがいて……必死になって闘い続けてきたのは、このボクだ! なのに、なんで、全部、センエースがもっていくんだよ! 苦しい部分はボクで、おいしい所はセンエースって……そんなの、流石にあんまりだろ!)
わかっている。
知っている。
ゼンドートに勝てなかったから。
だから、センエースに頼った。
自分が強ければ、センエースに任せる必要はなかった。
知っている。
そんなことは全部完璧に。
けど!
知っているから何だってんだ!!!
(主人公はセンエース。ボクは、何者でもない……ただのノイズ……)
バッドに入ると、とことん落ちていく。




