53話 ハンパじゃないポテンシャルの美女たち。
53話 ハンパじゃないポテンシャルの美女たち。
ダンジョン魔王は玉座から立ち上がり、パチンと指をならす。
すると、玉座がスゥっと地面にとけていった。
「――私のダンジョンを荒らす者よ……覚悟はいいな」
簡素な言葉で威圧をかけてくる魔王。
その言葉をゴングにして、
3番と99番は突貫した。
前衛は99番。
すさまじく俊敏な動きで魔王相手に、回避タンクとダメージソースの役割をこなす。
3番は中距離から、デバフの魔法を行使する。
凶悪な『呪縛』で魔王を足止めしつつ、得意の領域魔法で、魔王にスリップダメージを重ね掛けしていく。
見る見るうちに、魔王のHPが減っていく。
ダンジョン魔王は、どうにか抵抗しようとするのだが、
99番と3番の連携が完璧すぎて、ほとんど完封レベルで抑え込まれてしまう。
その様子を、『後方腕組み彼氏』状態で観察していたセンが、ボソっと、
「なんか、強ぇな。……あの二人、想像の39倍ぐらい強いんだが……」
『エキドナの拷問剣』と『死と隣り合わせのレミング』は、
『最魔王化』が使えるだけではなく、
『装備者の資質を底上げする』という効果もある。
その資質底上げ効果は、『当人のポテンシャル以上の強化は無理』という縛りがあるため、センは『言うて、そこまで強くならないだろう』と思っていたのだが、
「あ、死んだ」
とてつもなく強化された3番と99番は、
鬼のように強い魔王を、ほとんど秒殺してしまった。
2人は、ズタズタになった魔王の死体から距離を取り、
「99番、油断するなよ。第二形態になるかもしれない」
「油断なんかするか、ナメるな」
一切、警戒心を怠ることなく、魔王の死体を睨みつける。
すると、案の定、魔王の死体がグニグニと動き出す。
「やはり、第二形態か……99番、行け。サポートする」
「命令するな。今の私に命令できるのは17番だけだ」
言い合いながら、二人は速攻をしかける。
第二形態に変形しきる前にボッコボコにしていくスタイル。
その結果、第二形態化が完了した時には、すでに瀕死の状態の魔王。
第一形態よりも、だいぶゴツい『巨大な鬼』の魔王になったが、
「ぎゃああああ!」
ほとんど登場と同時に、99番に首を刈り取られて、あえなく死亡。
『第三形態になるかもしれない』と警戒する二人だが、
しかし、魔王の死体は、そのまま宝箱に変化した。
圧倒的な強さを誇る二人を尻目に、
後方腕組み彼氏のセンは、心の中で、
(……あの鬼型魔王は、決して弱くない)




