51話 俺達のインフレはここからだ!
51話 俺達のインフレはここからだ!
もう一つ、ちなみに、ずっと外で自律活動させていた、センの分身である『アバターラ』だが、センと同じく、存在値は9のままだが、ずっと、鍛練を続けていたらしく、今では『存在値100』をワンパンできるぐらいの戦闘力を身に着けた模様。
本体であるセンエースの成長率がバグっているので、『アバターラの方は微妙』と勘違いしてしまうかもしれないが、たった数日で、『存在値9で存在値100をワンパンできる戦闘力』を身に着けるというのは、尋常ではない話。
そして、アバターラの成長はここで終わりではなく、むしろ、ここから伸びていくというのだから、そら恐ろしい話。
最後にもう一つちなみに、ダンジョン神器の中には、『17番が召喚できる魔王』を『ダンジョン魔王と同じぐらいの強さに強化できるアイテム』もあるようで、センは、今日中に、そのアイテムも確保する予定。
よって、現時点におけるチーム・センエースの戦力は、
『存在値6800万(5分限定)』のセンエースと、
『存在値900(30分限定)』の3番と99番と。
『存在値100をワンパンできるアバターラ』と、
『存在値500(アイテムを使えば900)の魔王』が3体……
という、とんでもない異常戦力になっている。
(インフレが加速してきたな……)
センは、心の中で、ボソっと、
(すでに、ジンバブエ級にインフレしているが、でも、俺たちのインフレは、まだまだ始まったばかり……ここから、まだまだ加速していく……)
実際、その通り。
ダンジョンアイテムはまだまだ、90以上残っている。
★
休むことなく、センは、次のダンジョンに向かった。
道中はもう余裕。
戦力がインフレしている今、いまさら、存在値100そこらのモンスターが何匹出てこようと関係ない。
蚊やハエと大差ない。
フロアを駆け抜け、階段を全力で駆け下り、途中エンカウントするモンスターを、秒で粉砕する。
ほとんど、サーキットトレーニングのような様相で、1000年以上未踏破だったダンジョンを攻略していく、『チーム・センエース』の面々。
サクっと最下層フロア、魔王が待つエリアに辿り着く。
広大なフロアの中央に、まがまがしい玉座が据えられていた。
その玉座には、『だいぶ大きなオーラ』を放つ魔王が、悠然と腰を下ろしている。
姿は人型――だが、明らかに人ではない。
分厚い鎧をまとい、異様に長くねじれた角を持つ、鬼のような魔王。
何も言わず、ただ静かにこちらを睨みつけてくる。




