37話 俺は冗談が嫌いだ。そして、嘘をついたことがない。
37話 俺は冗談が嫌いだ。そして、嘘をついたことがない。
「次のダンジョンへGO」
そう言いながら、その『淡い光』の上に立つ。
99番は、いまだ、センのあれこれにビビっているが、『置いて行かれたくない』という想いから、足が、淡い光の上へと勝手にうごく。
淡い光は、二人の全身を、
ヒュイン!!
と、包み込む。
跳躍の波動。
そして、視界が一瞬真っ白になった。
★
ほんの一瞬で視界が戻る。
「んー、クラクラするねぇ」
などと言いつつ、センは、頭をおさえて、周囲を見渡す。
すると、隣には99番がいて、背後には階段。
センはそのまま階段を上がる。
受付でのあれこれをサっと済ませて、ダンジョンの外に出たセンは、
「よし……次は、アドレナリンの地下迷宮だ」
「ほ、本当に行くんだな……」
「当たり前だ。俺は冗談が嫌いなんだ」
「……あなたは、普段、冗談しか口にしていないと思うのだが?」
などと言葉を交わしつつも、
夜の街をダッシュで駆け抜けて、次のダンジョンへと向かう。
そんなこんなで、センは、この夜、マジで、合計5つのダンジョンをクリアして、
以下の5つのアイテムを手に入れたのでした。
『アスクレピオスの杖』
「短い杖。MP消費なし&無制限に『蛇の慈悲』が使える」
『サマエルの鎖』
「両腕に巻くタイプの鎖。獲得経験値が増える。ただし、ずっと、限界まで腕立てをやった直後ぐらい、両腕が重くなる」
『メタトロンの甲羅』
「亀仙流みたいな甲羅。獲得経験値が増える。ただし、シンプルに死ぬほど重い」
『サンダルフォンのサンダル』
「真っ黒なサンダル。獲得経験値が増える。ただし、ずっと、鉄人レース完走直後ぐらい、足が重くなる」
『メリークルシミマス/Lカスタム』
「孫悟空の頭のワッカみたいなやつ。獲得経験値が増える。ただし、ずっと、インフル真っ最中みたいな状態になる」
めでたし、めでたし。
★
《雅暦1001年7月22日朝》
……そろそろ太陽が昇る。
一晩中、ダンジョンを駆けずり回って、心身ともにボロボロのセン。
ついていくだけだった黒猫の99番も、流石に疲れ果てた顔をしている。
「よし……じゃあ、99番。打ち合わせ通り、今すぐ、出張所にいって、20個分の通行証を獲得しておいてくれ」
「に、20……」
「この時間だと、まだ開いていないだろうから、出張所に人がくるまでは、最前列をキープして、確実に、最速で通行証を獲得してきてくれ。それまでは、巻藁を殴って拳を磨いておく」




