26話 マイウェイを邁進。
26話 マイウェイを邁進。
「……ゼンドートとの最終決戦で『魔王をサポーターとして運用』することはあるかもしれないが、あくまでも、メインアタッカーは俺だ。だから、もう、道中で魔王は使わない。魔王を使ったら、俺の成長が見込めねぇから。今後は、この拳一本で、すべての絶望を切り開く。その先にだけ、未来があると俺は確信している。知らんけど」
そう言いながら歩きだすセン。
その背中に、99番は
「ま、待て待て。まさか、冗談じゃなく、本当に今から行くつもり――」
「これも二度と言わないから脳に刻め。そして、出来れば、今後、二度と、無駄な質問をしてくれるな。マジで、時間がもったいないから」
「……」
「……これから、俺は最強を目指し、ゼンドートを殺す。以上だ。お前は、黙って、マネージャーだけやってろ。そうすりゃ、トゥルーエンドが諸手をあげてパラパラを踊りだす。俺が何を言っているか分かるか? 答えなくていい。所詮は常人の戯言。俺の心には響かない」
などと供述しながら、センは、
グチャグチャの重たい体を引きずってダンジョンへと向かった。
★
目的の『コルチゾールの地下迷宮』に辿り着いたセンは、
警備員に通行証を見せて、地下迷宮へ入っていく。
センのボロボロの姿を見て、警備員は、
『イカれたキチ○イを見る目』を向けてきたが、
センはおかまいなしで、マイウェイを邁進する。
50~60段ぐらいの、
まあまあ深い階段を下りて『地下迷宮の地下1階』に辿り着く。
コケの生えた石造りの、いかにもダンジョンという感じの構造。
なんの光か分からないが、奥まで見渡せるぐらい、しっかりと全体が照らされている。
そこで、センは気づく。
後ろからついてくる女性が一人。
「どういうつもりだ? 俺の邪魔をしないよう、家で待機と命令したはずだが? 俺の命令が聞けないというのであれば、契約は解除させてもらうぞ」
振り返って、渋い目を向けると、
『黒猫の99番』が、
「……あなたに死なれては困る」
「……この俺が、たかがダンジョン探索ごときで死ぬわけねぇだろ。俺を殺せる可能性が、ほんのわずかでもあるのは、ゼンドートぐらいだ。それも、わずかな希望だが。敗北を知りたい」
「……そうなのかもしれない。けれど、あなただけは、絶対に失うわけにはいかない。だから、何かあった時は、私があなたの盾になる」
「お前が俺の盾? わらかすじゃねぇか、ナメやがって。………………ちっ。言いたいことは山ほどあるが……呑気にディベートしている時間はねぇなぁ」




