8話 死んでるインパルス。
今回の自作コミカライズ版の33話、
ご購入いただいた読者様へ!
いつも、いつも、本当にありがとうございます!
おかげで、まだ続けることができております!
ブーストしてくださった読者様!
本当に感謝しております!
本当に、本当に、ありがとう!!!
自作コミカライズ版も、本編も、
まだまだ、まだまだ、がんばりますよぉ!
どっちも、まだまだ、これから面白くなるのです!!
8話 死んでるインパルス。
ゼンドートは、軽やかなステップで距離を取りながら、センの様子を確認する。
ショートフックを空振ったセンは、
体勢を立て直しながら、
「……くそ……ゴミみたいに重たい体だ。……まったくイメージ通りに動かねぇ。……こりゃ、拳の握り方から学び直しだな……だりぃ」
ぶつぶつ言いつつ、その場で、パパっとシャドーボクシング。
全神経を集中させて、筋肉の挙動を細かく再確認していく。
重たい腕に苛立ちを覚える。
まるで、夢の中で、もがいているみたい。
理想と現実の距離がかけ離れすぎていて耳がキーンとなる。
酸欠みたいに頭がぼうっとして、吐き気が込み上げてくる。
……ちなみに、『タイムリープ前の正史』では、
このチーム組手で、
『17番』は、味方と協力して、
『ゼンドートの弱点みたいなものがないか』を探したり、
普通にカマキリ(マパネット)を召喚して、17番の力を適度に誤解させたり、
……などなど、色々とコスいことをやっていたのだが、
……今回のルートで、そんなヌルいことは一切しない。
センは、ギリっと奥歯をかみしめて、
「シナプスが腐ってる。死んでるインパルス。……『殺し合い』を知らない五感に、惰性で脈動する血管。おままごと用の筋肉、鈍感な瞳孔、シビれねぇ皮下組織……全部ゴミ。話にならねぇ……総とっかえだ。普通は、全細胞が入れ替わるのに3か月かかるが……2日で全部変えてやる。こんなヌルいタンパク質は、俺のビルドに不必要」
自分自身の四肢気血を全否定して、
パッキパキの血走った目で、
ここではないどこかと、
どこかではないここを睨みつけ、
「理論すら無効にする血と肉で再構築。魔改造するニューロン。かわりゆく旧型プロトン。抗議文は黄昏にミュート。オプションもない孤独のセッション。ゼロに還る鼓動。髄から生まれ変わるボーン。再生アルゴリズムの脈動に没頭。自己再定義完了まで、応答停止ボット」
オーバーヒートする自問自答。
センエースの全部が、めくるめく沸騰。
……そこで、ゼンドートが、キっと目線を強めて、
「17番……何をブツブツ言っている。今はチーム組手の時間だ。集中しろ」
「集中? もちろん、しているぜ。この場にいる誰よりなぁ」
そういいながら、センは身を低くして、
「さあ……手伝ってもらうぞ。ゼンドート伯爵閣下様よぉ。この日、この瞬間に、俺は俺を殺す。舞い散るハッピーバースデー。俺は『猿の17番』……剛毅に狂い舞う閃光」
そう宣言してから、センは加速した。




