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28話 三時間、そこに、たってなさい。


 28話 三時間、そこに、たってなさい。


「――ここで死ななければ来年受かる可能性はある。ここで死ぬより、来年にかけるほうが間違いなく合理的じゃ」


 と、メービーが最後の確認をするが、その6名はまっすぐな目でメービーを睨みつけていた。


 冒険者試験を受ける理由は人それぞれ。

 この6名には、おそらく、どうしても引けない理由があるのだろう。


 ただ、どんな理由があろうと、彼らが、今、メービーの前に立っているのは個々の意思。

 メービーは、きちんと説明義務を果たしている。

 騙したわけでも、引きずり込んだワケでもない。

 つまり、どうなろうと自己責任。


「いいじゃろう。ぬしらを試してやる。試験内容は忍耐力チェック。3時間、その場に立っていられたら合格じゃ」


「立っているだけ?」


 受験生の一人がそう尋ねた。


「そうじゃ。何があっても、そこに立っていなさい」


「「「……」」」


 『何があっても』という表現から、六名は一瞬で察した。

 何かをされる。

 その上で、立っていろ――そういう試験。



「それでは、敗者復活を開始する」



 そう言い終わると同時、

 メービーの全身から、

 『凄まじい殺気』が放たれた。


 ビリビリと脳の奥が揺れて、

 生存本能が燃え上がる、

 そんな重厚な殺気。


「ひっ……」


 はやくも、一人が脱落した。

 ションベンを垂れ流しながらショック死してしまったのだ。

 続いて、二人目、三人目とショック死していく。


 次元の違う、圧倒的な威圧感。

 凡夫では、耐えられる訳がない、圧倒的な覇気。

 ――だから、




「はっ……三時間どころか、1分も持たなかったのう」




 結果、6人全員が、50秒ほどで死んでしまった。

 なんとも、あっけないものだった。



 ――その結果を見たセンは、


(……いいオーラだ。真摯に積み重ねてきたのが分かる丁寧な覇気。とはいえ、まだまだ雑味の多い発展途上。いかんせん、練武がまったく足りていない。深みがない。まあ……まだ、若いから仕方ないね。真に磨かれていくのは、これから、これから)


 と、510歳を超えている老人を捕まえてそんな事を言うセン。



 ちなみに、実は、

 メービーは、フーマーの『第一使徒』であり、ピースメイカーの裏番でもある。



 超越者を多く抱えているフーマーでも圧倒的な実力者であり、従属神への昇格候補ダントツ筆頭。

 その実力は圧倒的で、ホルスド・シャドーよりも上。


 第一使徒メービーは、200年ほど前から表舞台からは引退し、

 フーマー東方の霊山にこもって、延々と修行をしている求道者。

 同じ使徒の中でも、メービーの顔を知っている者はほとんどいない。


 現世の頂点、圧倒的な超越者メービーだが、従属神から命じられれば、当然、しっぽを振って働かざるをえない。


(上の命令とはいえ……なぜ、この私が、冒険者試験の試験官など……まったく……)


 理由は聞かされている。

 レイモンドやゼノリカという謎の組織に、世界が侵略されかけている。

 このピンチを、人類総出で乗り越えなくてはいけない。

 その第一手が、今回の冒険者試験。



 メービーは思う。


 ――『確かに、今の世の中は、面倒な問題を抱えているっぽいが、しかし、自分が出るほどの事ではないだろう』と。


(話を聞く限り、確かに、ゼノリカのウルトラなんとかは、そこそこ強いんじゃろう。セレーナたちは強い。あのモナルッポというガキも、決して弱くはない。あいつらが倒せなかった相手……確かに脅威。しかし、所詮、逃げるくらいは出来る相手。ピースメイカー全員で挑めばどうにかなるじゃろう)




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