5話 ねんがんのアイスボディをてにいれたぞ!
5話 ねんがんのアイスボディをてにいれたぞ!
数秒の間、『どちらの意識もないからっぽの肉体』になる。
……そんな危うい3秒が経過したところで、
「うぉっ!!」
意識を取り戻した17番の肉体。
「か、体……」
『17番(センエースが主人格)』は、自分の体をべたべたとさわる。
手足の感覚や感触を確かめながら、
「……や、やった……なんか知らんが、俺はついに、ねんがんのアイスボディをてにいれたぞ!」
(アイスボディって……死んで冷たくなった体みたいだね。ロマサガネタなのはわかるけど……)
頭の中に響く声。
その主は、元の17番。
ややこしいので、今後は、
『肉体がある方』を『センエース』、
『センの中にいる霊体』を『17番』と明記する。
「こいつ直接脳内に……っ」
と、センは、軽くチョケつつも、
少々激しめにストレッチやシャドーボクシングをしながら、
ブツブツと、
「マジで、普通に主人格が入れ替わったな……逆の立場だったら、あんな聖水、絶対にのまない……どうやら、お前の話は、マジっぽいな」
(全て事実だ。ボクは、一切、嘘をついていない)
そう言い切った17番。
センは、首をコキコキと鳴らしながら、
アイテムボックスに手を伸ばし、ごそごそしてから、
「おい、他のアイテムは? 未来から今に送ったんだろ?」
(送れたのは、さっきの薬と記憶だけだ。あとは、永続強化で覚えた『治癒ランク1』ぐらい)
「ナメてんのか、てめぇ」
(これが限界だったんだ。こっちの苦労も知らずに、罵倒するのはやめてくれ)
「ちっ……」
と、舌打ちしてから、
「そういえば、経験値は? 経験値も過去に送って強くなったと言っていただろ? てか……お前って確か、経験値を稼いでも、俺に吸い取られてなかったか?」
(君に注がれた経験値を、ボクの肉体に反映させるアイテムもあるんだ。けど……)
「けど、なんだ?」
(その経験値は、今回のタイムリープで、全部ロストした)
「……おいおいおい」
と、一度、呆れかえってから、
センは、
「ちょっと待て……確か、お前……てか、『俺』って、異常なほどの経験値を稼いでいたよな? ダンジョンの雑魚一匹殺すだけで、『存在値50億クラスの敵を倒したのと同じぐらいの経験値』を。その前提があるうえで、お前は、ダンジョンで『モンスター』や『魔王』を殺しまくっていた。そして、それを、何度も繰り返したんだろ? 何度も過去に送って、経験値をためまくったんだろ?」
(うん)
「それで……ゼンドートに勝てなかったってのか?」
(うん)




