3話 暴走のゼンドート。
3話 暴走のゼンドート。
(おだやかじゃないねぇ。ちなみに、ゼンドートさんは、なんで、そんなトチ狂った真似をしたのかしら? アホでも分かるよう、三行で説明なさって)
(理由は分からない。セミディアベル公爵から、何かを聞いて、それがキッカケで……と言う事だけは分かっているんだけど、何を言われたのかは知らない。とにかく、ゼンドートは、7月31日に、必ず……『全人類を皆殺しにする』と宣言して暴れ出す)
(セミディアベル……ねぇ……ゼンドートと同じか、それ以上にヤバいサイコだって話は聞いたことがあるような、ないような……)
(記録によれば、ボクは何度もアイテムや経験値を過去に送り、自分を強化した状態でゼンドートに挑んできた。何度も戦い、何度も瀕死にまで追い込んだ。――けれど、ゼンドートはそのたびに復活し、しかも復活のたびに異常なほど強くなっていった。ボクがどれだけ強くなっても、あいつは必ず、その数歩先を行ってしまうんだ)
(あいつ、そんな宇宙最強戦闘民族の突然変異みたいな特徴を持っていらっしゃるのか。……まるで主人公じゃねぇかよ。やぁねぇ)
(ボクは強くなった……必死に頑張って、強くなった……何度も、何度もタイムリープを繰り返して……ボクは信じられないほど強くなった……けど、勝てない……勝てないんだ……何度やっても……ボクじゃ、ゼンドートには勝てない! 勝てる気が……しない……っ。ボクはもう、折れてしまった……)
(……)
(どれだけ強くなって、どれだけゼンドートを追い込んでも……ゼンドートは、最後に、笑ってこう言う。――『僕より強い程度の雑魚に、僕は負けない』と)
(ほう。なかなか心にくるセリフじゃねぇか。パクらせてもらおう)
(自分一人だけじゃダメだと思って、『3番』や『99番』や『7番』や『ミケ』や『ラストローズ辺境伯』や『カルシーン伯爵』にも力を貸してもらった。この都市にいる有能な面々を根こそぎ集めて、全員をとことん鍛え上げて、波状攻撃を仕掛けた。けど、勝てなかった。勝てないどころじゃない……まったく歯が立たない)
(……)
(……強すぎるんだ……ゼンドートは……あれは、もう、ほとんど無敵みたいなものだ。だって、瀕死に追いやっても、パワーアップして復活するんだから! そんなもん、どうしろってんだよ! こっちの戦力とか、作戦とか関係ない! 『無限にパワーアップコンテニューしてくる最強の個体』とか、無理だろ! 詰んでる! あんなのチートだ!)




