18話 信念と深淵。
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それを記念しての一日10話投稿!!
本日の2話目!!!
ちょっとでも楽しんでもらえたら幸いです(*´▽`*)
18話 信念と深淵。
「今から君には死んでもらう」
と、虫でも見るような目で……そう言ってきたゼンドート伯爵。
ボクは、高鳴る心臓を、元奴隷根性で抑え込みながら、
心の中で、モンジンに、
(魔王……召喚できるよね。アバターラが、無駄に制限時間を使いきったりしていないよね?)
(今日はまだ1秒も使ってねぇ。5分、きっちり召喚できる)
(よし……なら問題は――)
と、戦闘態勢を整えていると、
ゼンドート伯爵が、そこで、フっと、小さく微笑んで、
「――とでも言われるんじゃないか、という顔をしているな」
「……」
「恐怖の色は隠せない。君は、僕に、強い恐怖を感じている……」
「いや……まあ……えっと……」
なんて言えばいいか分からずモゴモゴしていると、
「素直に、気持ちを口にしていい。別に咎めたりしない」
……なんて……そんな風に『燕の5番』を騙して、彼女の背中を剣で切り捨てたのが、この異常者だからなぁ……
んー……
まあ、いいか。
もし、この異常者が本性を出して牙をむいてきたら、
魔王を召喚してボコボコにすればいい。
前回はゼラビロスだけだったから、殺しきれなかったけど、
今度はパリピーニャも同時に召喚してやる。
そうすれば、確実に殺せるだろ。
その後のこととか、もう知らん。
なるようになるさ。
「ゼンドート伯爵……あなたは、ボクの目の前で、5番を切り伏せた。だから、ボクはあなたが怖い」
「勇敢だな、17番。恐怖を抱いている相手に対し、堂々と、自分の気持ちを口にするとは」
「殺したければどうぞ。ただし、抵抗はします。死にたくないので」
「ふむ」
そこで、ゼンドート伯爵は、ソファーから立ち上がった。
ボクは、一瞬、ビクっとしてしまう。
だいぶ恥ずかしい気持ちになった。
情けない……
ゼンドート伯爵は、ゆっくりとした動作で、壁際まで歩くと、
窓の外を見つめながら、背中で語ってくる。
「君は僕を誤解している」
「誤解……ですか」
「僕は、無意味に死を振りまく狂人ではない。むしろ逆だ」
「逆……ですか」
「僕は誰よりも公平に世界を断罪する。罪を犯した者には相応の罰を、尊き者には称賛を」
「……」
「僕は罪の重さを測る天秤そのものだ。その公正さは天衣無縫。たとえ、血の涙で錆びようとも、決して理不尽に傾きはしない」
(今のセリフはイカしてるな)
と、ボクの中のモンジンが、ボソっとそう言った。
ボクはイカしているとは思わなかった。
意味不明だと思った。




