16話 エースになるやも。
明日、自作コミカライズ版33話を配信します!
それを記念して、明日は1日10話投稿!
明日から、本編で、色々と起こります!
コミカライズ版も本編もだいぶ面白く仕上がっているので、
ぜひ、楽しんでいただきたい(*^-^*)
センエース神話は、まだまだここから面白くなるのです( `ー´)ノ
16話 エースになるやも。
(貴族が白と言えば黒も赤になる……そういうものだよね)
と、ボクが、心の中でボケると、モンジンが、
(そうだね~)
渾身のボケを軽く流されると辛いものがあるなぁ……
「猿の20番……教導係のカルシーン伯爵から、君の話は聞いている。爆発的に成長をしており、仮にこのままのペースで強くなり続けた場合、将来的には、魔王討伐隊のエースになるかもしれない、と」
「エース……いえ、そこまでは……さすがに……」
「謙遜しなくていい。僕は、君の『執行部に登録されている過去の記録』にも目を通している。先月に登録された君の存在値は13。だが、今の君は……43。これほどの短期間で、ここまで成長した者を、僕は他に見たことがない。本当に異常なペースだ。その上で、まだ伸び代があるというのが、カルシーン伯爵の見解。素晴らしい。君は天才だ」
「あ……ありがとうございます」
「君にも大いに期待している。ぜひ、魔王討伐隊のエースになってくれたまえ。そして、共に、魔王を討ち滅ぼそうではないか」
「……はい」
「二人とも、下がっていい。訓練開始時刻まで、休んでいなさい」
言われて、ボクらは、一度、同時に深く頭を下げてから、
ゼンドート伯爵に背を向けて、小走りに、運動場の隅へと向かう。
だいぶ離れたところで、
ミケが、ボクにだけ聞こえる声で、ひそひそと、
「ゼンドート伯爵は『かなり変わった性格をしている』と聞いていたが……話してみると、かなり真っ当な、普通に優しい貴族だったな」
などと、病的にズレたことを言ってきたので、ボクは、
「バカか、20番。君は本当にバカだな、20番。世界中が君のレベルに落ちたら、この世の終わりだぞ、20番」
「俺はもう奴隷じゃない。ナンバーネームで呼ぶな」
「おっ、ゼンドート伯爵が相手だと否定しなかったのに、ボクが相手だと否定するのか」
「当たり前だろ。ゼンドート伯爵は尊敬すべき上位者だが、お前は見下していい格下のゴミなんだから」
ナメたことを……
てか、ゼンドート伯爵を尊敬って……それは、人としての禁忌だぞ。
命に対する冒涜と言ってもいいかもしれない。
そこで、ボクは、コホンとセキをはさんでから、
「ミケ、君は、ゼンドート伯爵をまるで理解していない。あの人は本当に怖い人だよ。少なくとも、ボクが知る人間の中で、最凶だ。最も強いじゃなく、最も縁起が悪いって意味な。ここは、あえて『演技が悪い』と言ってもいいかも」
「伯爵は、一貫して、まともなコトしか言っていなかったと思うが?」




