14話 黒髪黒目・中肉中背で30代中盤の、頭おかしいオッサン。
14話 黒髪黒目・中肉中背で30代中盤の、頭おかしいオッサン。
大事なところを要約すると以下の通り。
・『アバターラは、さらに鍛錬を積み、魔王を使わなくても、自力でヤクザをボコボコにできるようになった。上位貴族が相手だと、流石にまだキツいが、存在値50ぐらいの中位貴族ぐらいなら、叩き潰せるようになっている』
・『精力的に、魔王組相手の略奪行為を繰り返した結果、回収した金やアイテムがさらに増えており、置き場所に困っている。7番の隠れ家はもうパンパン』
(いまだに、アバターラの存在値自体は、ボクと同じで9のままなのに……戦闘力だけで、存在値50を叩き潰せるのか……すごいな)
(回収したマジックアイテムも、なかなか質の高いものがそろってきているな……『潜影の魔法が使えるようになる指輪』、『雷を纏った魔法の剣』、『ランク5以上の魔法が使える魔カード』、『攻撃力を30増加させる腕輪』、『相手の防御力を、かなりの精度で無視できる貫通属性突きのカイザーナックル』……)
(どれもすごいマジックアイテムだけど、地下迷宮で入手できる『神器』と比べると、流石に劣る感じだね)
(そうだな……『潜影』は『分身』と同ランクの低位魔法。『神器で使えるようになる魔法』と比べると、『この都市で出回っているマジックアイテムに付与されている魔法』は、3段階ほど劣っているな)
魔法のクオリティは、以下のような感じでランクアップする。
『分身』→『影分身』→『オーラドール』→『オーラドール・アバターラ』
ボクが地下迷宮で獲得した『アバターラの指輪』は、最高峰の魔法が使える神器。
それと比べると、『潜影の指輪』は、かなり劣っている。
とはいえ、装備するだけで魔法が使えるようになるアイテムというのは、普通にエグいんだけどね。
地下迷宮で手に入れたアバターラの指輪が、破格にバグっているだけ……
★
――朝食を終えたあと、
今日も元気に訓練に向かう。
正直、訓練はしんどいし、金ももらえないから大嫌いだけど、
『ちょっとずつ、自分の肉体がマシになっている実感』があるので、
一応、今日も頑張ってみる予定。
首をコキコキならしたり、手首足首のストレッチをしたりしながら運動場に出ると、
「うぉっ」
運動場のど真ん中で仁王立ちしている存在に気づいて、つい、声が出てしまう。
黒髪黒目・中肉中背で30代中盤のオッサン。
ゼンドート伯爵……
伯爵は、この運動場のど真ん中で、腕組みして仁王立ちしたまま、静かに目を閉じて、天をあおいでいた。
……なにやっとるんだ、あの異常者……




