12話 夢の0点へと続く遠い道のり。
12話 夢の0点へと続く遠い道のり。
巻藁を殴り続けたことで、
拳にかなりのダメージを負ったけれど、
ただ、ちょっとだけ……コツみたいなものを掴むことが……
できたとは言い切れないけれど、
まあ、でも、まあ……うん……
みたいな感じのアレ味を感じなくもない今日この頃みたいな流れで――
(なんて?)
(うるさいな。ボクだって、かっこよく『コツを掴んだ』っていう締めくくりにしたかったけど、コツなんて、さっぱりつかめなかったんだから、ごまかすしかないだろう)
(そう悲観するな。多少はマシになっていたぞ)
(え、ほんと?)
(ああ。100億点満点中のマイナス200点だった奴が、マイナス197ぐらいになった感じだ)
(もう……色々、ピンとこないよ……数字が、プラスにもマイナスにも込み入りすぎていて……)
(この調子で二カ月ぐらい頑張れば、夢の0点になれるぞ。やったね、17番ちゃん、家族が増えるよ)
(その『雰囲気だけで喋る』の、やめなよ)
(誰が言うとんねん)
(ボクの戯言と、君の妄言には、明確な差がある気がする。言うまでもなく、君の方がヤバい。ボクは自分のイカれた部分を自覚しているけど、君は、自覚しているフリをしているだけで、本質的には、自分の異常さを理解していない気がする。絶対的に、ボクの方が、まだマシ)
(お前と俺は同じだ。巨大な愚かさを振りかざしてエゴを叫んでいる。方向性が違うだけで、根っこは何もかわらねぇ)
★
《雅暦1001年7月21日朝》
今日も、とてつもない筋肉痛。
それだけじゃなく、『皮がめくれた拳』も痛い。
けど、ベッドから起き上がるために浪費した時間は5分で済んだ。
「うぎ……」
全身の『細胞爆発みたいな痛み』は継続している。
ただ、少しだけ、その質が変わってきた気がする。
筋肉の密度が増した感じ……
前世の世界における人間の体と、この世界における人間の体には、
『超回復の頻度と速度と品質』に差がある気がする。
いや、これに関しては気のせいじゃなく、事実だと思う。
そこで、モンジンが、ボソっと、
(これは、おそらく回復魔法の影響が長期的に蓄積された結果だろうな。損傷組織に対する細胞レベルの再構築――いわゆるリモデリング過程の進行速度が、通常のヒト組織よりもはるかに高速化している。筋線維のマイクロダメージに対して、通常なら炎症期・再生期・リモデリング期といった段階的回復プロセスを経るわけだが、この世界の肉体は、その各フェーズが異常な短期間で推移している)
今週土曜日、
『悪の魔王使い17番』が『正義の化身ゼンドート』にボコられて堂々の大団円!
長かった17番の物語も、ついに最終話!
今まで本当にありがとう!
そして、自作コミカライズ版33話も配信予定!
それを記念しての一日10話投稿!
自作コミカライズ版も勿論ですが、今週土曜日は、とにかく本編が面白い!
今週、あなたは、本物の『正義』を知ることになる!




