177話 条件。
177話 条件。
その後も、ラストローズ辺境伯は、正式採用された際の条件について、淡々と述べていく。
条件をまとめると以下の通り。
・毎月、出動の有無にかかわらず、最低保証として15万の手当が支給される(所属している限り、これは継続して支払われる)。
・魔王との戦闘に参加するだけで5万のボーナス、さらに成果次第では500万以上のボーナスが支給されることもある。
・単独でアバターラを捕獲または討伐した場合、現行の規定に基づき、報奨金5億および伯爵位が授与される(今後の脅威度や市民被害の拡大によって、報奨金額は再検討される可能性がある)。
・部隊単位で倒した場合、報奨金を人数で割って分配。
・アバターラを討伐した後も、同様の脅威が現れる可能性を想定し、『魔王討伐隊』は引き続き存続する。
・魔王との戦闘で戦死した場合、遺族には1000万の死亡補償金が支払われる。
・遺体は原則として執行部が回収し、希望があれば名誉階級としての埋葬も可能とする。無縁者は共同墓地に埋葬される。
・戦闘に関わる装備やアイテム等は全て無料で執行部から支給される。
・魔王との交戦による正当な損耗に関しては、申請により執行部から再支給が行われる。申請回数に制限は設けないが、過失や虚偽が認められた場合は対象外となる。
・魔王との闘いで負った傷の治療代は全て執行部が負担する。
・魔王事件に関する機密情報の漏洩は、市内の治安維持および秩序保持に重大な影響を与えるため、ラストローズ辺境伯権限の命により、違反者には即時の処刑処置または拘束が適用される。
・年に一度の精神適性検査を義務付ける。重度の精神汚染や錯乱が見られた場合、除隊または『隔離』の措置を取る。
・討伐隊に正式採用された者には、都市内に専用の寮を支給する。生活費は執行部が負担する。
ほかにも、無数の条件が提示された。
正直、もう途中から聞いていなかった。
……多いよ。
もういいって。
条件を言い終えたところで、
ラストローズ辺境伯が、受験生たちを見渡して、
「正式採用された際の条件は以上だ。なにか質問があれば受け付けるが?」
ボクだけじゃなく、みんなも、疲れた顔をしている。
だから、誰も質問をしなかった。
助かった。
もし、ここで、長々と質問するやつがいたら、ボクは、魔王を召喚して、そいつを殺していたかもしれない。
ボクの疲労と怒りをナメるなよ。
「もろもろを踏まえた上で、魔王討伐隊に志願するかどうかを、今から5分以内に決めてほしい」




