161話 ネオカマキリ・マパネット。
161話 ネオカマキリ・マパネット。
「実は、ボクは、自分が召喚したモンスターを、デバフ特化型にカスタムすることができるというスペシャルをもっている! このネオカマキリの一撃には、貫通・毒・麻痺・呪縛の効果を付与している! この事実を相手に暴露することで、デバフ効果が爆増する!」
『暴露のアリア・ギアス』。
秘密をあえて教える……そのかわりに、指定の効果を底上げする!!
「いけぇええ! ネオカマキリ!」
命令を受けて、ネオカマキリは、ラストローズ辺境伯に向かって突撃。
ラストローズ辺境伯からすれば、ネオカマキリの動きなんて、クソ遅いだろうから、避けるのはたやすいだろう。
しかし、現状は『魔王討伐隊のメンバーを決めるための試験』を行っているところ。
つまり、ラストローズ辺境伯は、『魔王討伐に役立つ手札』を求めているということ。
……だったら避けないはずだ。
ボクのネオカマキリが、どの程度のデバフ能力を持つのか気になるはずだから。
ラストローズ辺境伯は、
「……」
一瞬、何か考えているような顔をしたが、
「まあいいだろう」
ボソっとそうつぶやくと、そのまま仁王立ちを継続。
そして、ネオカマキリの『カマの一撃』を、その身で、しかと受け止めた。
本来であれば……ラストローズ辺境伯の強靱な肉体に、ネオカマキリの攻撃など、通るわけがない。
しかし、事前にボクは『貫通属性を付与した』と宣言している。
だから、
「むっ」
ネオカマキリのカマの一撃が、ラストローズ辺境伯の胸部に、ザクっとナナメ一直線の傷をつける。
この本来ならばありえないことにも一本の筋が通る!
「……ほう」
いただきました。
ラストローズ辺境伯が、驚嘆の声をもらす。
これは、もう勝ち確でしょう。
さらに、『ネオカマキリ(マパネット)の一撃』に付与していたのは『貫通』だけではない。
ここからが本番。
「む……うぅう……」
ラストローズ辺境伯の全身に、毒と麻痺と呪縛がまわる。
『暴露のアリア・ギアス』で底上げされた『デバフ』……という設定。
ハッキリ言って、全部ウソだが……
しかし、その嘘を見破る術を、ラストローズ辺境伯は持ち合わせていない。
だから、
「……なるほど……なかなかのデバフだ。あえて避けなかったからとはいえ……私の肉体を傷つけたことも評価に値する」
「ですよねぇ」
ボクは、ホクホク顔で、
「どうです。流石に、これは合格確定でしょう?」
と尋ねるが、しかしラストローズ辺境伯は、
「優れているのは認める……が……魔王に通じるレベルではない」




