151話 選択肢。
151話 選択肢。
(……点数の高い文章問題を丸暗記するのに脳が疲れ果てて、選択問題の答えをド忘れしてしまった。……そして自分の頭で考えようにも、難しすぎて分からないぃ……)
【問6】以下の用語のうち、経済階級制度に関係のあるものとして誤っているものはどれか?
A. 三等市民
B. 雅貨貯蓄率
C. 収穫税階級
D. 精霊審判
(……『聞いたことがなくもない』ってレベルの、ほぼ知らん言葉ばっかりだ……勘弁してくれ……)
(問6の答えは『D』だ)
(ぇ、もしかして、モンジン、全部覚えているの?)
(あの程度だったらな)
(ふはははは! 勝った! 風呂入ってくる!)
(あと、問1の文章問題、普通に間違えているぞ)
(え、うそ?!)
(問2の文章問題も、結論が逆になっている)
(うそだよ、それはうそだよ……ぁ、ほんとだ……ぇ、なんで?)
(俺には知る由もない。あと、問5の選択も、自信満々にDって記入しているけど、Cな)
【問5】以下のうち、公務魔導士に課される三大義務に該当しないものはどれか?
A. 忠誠
B. 秘匿
C. 課税
D. 応戦
(俺の採点だと、お前の点数は、100点満点の25点だ。すげぇな、お前。全部の答えを事前に教えてもらっておきながら赤点取るとか、なかなかできないぜ。もう、いっそ、そのまま提出してみるか? 黒猫の99番が、どんな顔するか、見物だぜ)
★
ペーパーテストを提出してから30分ほどで結果が出た。
……はやいな。
モンジンの『ちょっとしたワンポイントアドバイス』もあって、
余裕の一次試験クリア。
(ちょっとした? ワンポイント? ……ほぼ、全ての問題で添削させてもらったんだが……)
バカがなんか言ってるよ。
まったく、やだねぇ、現実が見えてないバカは……
モンジンって、ほんと、どうしようもないバカ。
――と、そこで、黒猫の99番が近づいてきて、
「ペーパーテストは流石に問題なくクリアできたな。お前バカそうだから、もしかしたら、ミスるかもしれないと思っていたが」
「あの程度の問題、事前に答えを教えてもらわなくても楽勝だったね」
「だろうな。公務試験としては最低レベルのものだったから」
「……ふぇ?」
「だが、中には、あんなカスみたいなテストで30点を取ったバカもいるらしい。正気を疑うな」
「そ、そうだね……イっちゃってるね……」
「中には、雅貨の換算問題で間違えるやつもいたらしい。あれは、ほとんど、問題文に答えが書いてあるようなものだというのに。よく、そんなザマで、これまで生きてこられ――」
「……もうやめて! ボクのライフはとっくにゼロよ!」




