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19話 元帥としての仕事。


 19話 元帥としての仕事。



 そこで、この場にいる全員の目がラムドにそそがれた。

 ラムドの答えを待って、一瞬、場が、シンと静かになる。



 熱を持った静寂の中、ラムドは、二秒ほど溜めてから、


「ぅん、まず……」




 ドンッッ!!




 っと、机に拳を叩きつけ、


「てめぇら、ダレにどんな口の利き方をしていやがる」


 極限まで高圧的な態度で、


「お前らは軍人で、俺は元帥! この俺、ラムド・セノワールは、陛下以外の全員の上官。その俺に、タメ口きいてんじゃねぇ。次、俺を呼び捨てにしたら、腕を切り飛ばすからなぁあ! 覚悟しておけぇ! このクソバカどもがぁああ!」


 その怒声に対し、最初に口を開いたのはワイルだった。

 歴戦の戦士であるワイルは、ゴートの一喝にビビったりはしない。


「おいおい、ラムドよぉ。今までは、そんなくだらねぇこと一度も言った事ねぇじゃねぇか。どうしちまったんだ? あん?」


「今までは、『召喚バカ』という『キャラ』でやっていたからな。立場上、『逆』に言えなかっただけだ。しかし、これからは違う。厳格な規律のもと、一個の軍として、世界と対峙していかなければいけない。というわけで、今後は、命令系統に支障が出るであろう言動は厳しくとりしまっていく。あと、最後にもう一度だけ言う……ため口やめろ」


「そこまで偉そうにされて黙っているワケにはいかねぇなぁ。ナメんじゃねぇぞ、ラムド。お前は確かに強いが――っっ」


 そこで、キラっと銀色が光った。

 刃物がきらめいた色。

 コンマ数秒の出来ごと。

 その直後――


「うっがぁあああああ!」


 ラムドの飛斬で腕を切り飛ばされたワイルの叫びが、議事堂中に響き渡った。

 悲痛の叫び。

 噴き出す鮮血。

 すぐにオーラと魔力で止血するが、一気に大量の血を失ったせいで、ワイルの顔色は非常に悪くなっている。


「うぅう! がぁああ……てめぇ、本当に腕を……」


 切られた腕の傷に、『ランク1の回復魔法(ワイルが自力で使える回復魔法はランク1まで)』を使いながらそうつぶやくワイルに、

 ゴートは、非常に冷静な態度で言う。




「ため口はヤメろつったろーが……二度もよぉ」




 そこで、リーンが立ち上がり、


「ら、ラムド! やりすぎだ!」


「ああ、そうだな。やりすぎかもしれない。で、だから、なんだ? リーン」


 強い視線でリーンを黙らせるゴート。

 ――そこで、ダオが、


「あなたは……命令系統を乱すような言動をしてもいいんですか? 陛下に対してその口のききかたはいかがなものかと思いますよ……ラムド……殿」


「命令系統の一番上は俺だ。陛下は象徴として座するのみ。あと、殿じゃねぇ、様だ。俺とおまえは同等じゃねぇ。俺が上だ。言っておくが、俺は、『お前に様付けで呼ばれたくて仕方がない』ってワケじゃねぇぞ。そこをなおざりにしたら、そもそも意味がねぇからちゃんとしろっつってんだ。次、ちょっとでもナメた口きいたら、お前の腕も飛ばすから、覚悟しておけ」


「……」


 ラムドの強い視線を受けて、冷や汗を流しながら黙りこむダオ。


 ――そこで、さきほどラムドの視線一発で黙らされていたリーンが、

 気合いを入れ直したような顔になり、腹に力をこめて、


「ラムド! お前の事は信頼している! 任せるとも言った! しかし、こういうマネはやめてほしい! お願いだ!」


「こういうマネ?」


「仲間を傷つけるな! それでは、誰も、お前を信用しなくなる!」


「そうだな。その通りだ。『味方に損害を出すヤツ』の事は誰も信用しない。……つまり、そんなヤツを将軍の地位には置いておけないってことだ」





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