135話 誰も僕を止めることは出来ない。
135話 誰も僕を止めることは出来ない。
(17番……お前の、そのフワフワした中身がないトーク術、やめた方がいいぞ。友達をなくすだけだ)
(君にだけは言われたくないと、ボクの大脳辺縁系が叫んでいる)
数分を経て、『全員』が目覚めたところで、
魔王問題に関する会議が始まった。
ここにいるのは皆、有能な人ばかりだが、
流石に、魔王に関しては情報が少なすぎて、建設的な会議にはなっていない。
「魔王を、我々の力だけで対処するのは無理では?」
「じゃあ、蹂躙されるのを黙って見ているというのか?」
「そうは言っていないが……」
「さすがに、放っておくわけにはいかないよな……」
「とはいうものの、しかし、どうするというんだ?」
「うんたら」
「かんたら」
「あれや」
「それや」
なんか、色々と話し合っていたけど、
ボクは、途中から聞いていなかった。
眠気との闘いに忙しくてね。
別に、ふざけているわけじゃない。
マジで眠いんだ。
今、ド深夜だからね。
……さっき、気絶しているフリをしている時に寝ておけば良かった……
などと後悔していると、
そこで、ゼンドート伯爵が、
「……問題は、なぜ、魔王が、5番だけを連れ去ったのか……もしかして、彼女は、魔王と繋がっていたのか? 僕の魔カードを盗んだだけではなく、魔王ともつながっていた……となると、本格的に大問題だな」
と、顎に手をあてて、そう言った。
この中で、最後まで生き残り、魔王に手傷を負わせたゼンドート伯爵。
ただ、ゼンドート伯爵がゼラビロスと『いい感じの闘い』をしていた時、ボク以外の全員が気絶していたので、そのことは誰も知らない……
……って……
ん?
え?
……え、なんで、ゼンドート伯爵……普通に起きてんだ?
(え? なんで? ちゃんとウイルスをぶちこんだよね? なのに、なんで? ……マパネットの『植物人間ウイルス』がゼンドート伯爵には効かなかったってこと? そんなことある? 魔王のデバフだよ?!)
困惑しているボクの声に、モンジンが応えてくれる。
(細かいことはもちろん分からんが……もしかしたら、ゼンドートは、魔王の攻撃に対して、特別な耐性があるのかもしれないな……)
(えぇ……そんなことあるの?)
(なくはねぇだろうな。『特定の種族に対して特化した強みを持つ』ってのは、よくある話だ。『スライムにだけ倍のダメージを与える』とか、『ドラゴンの攻撃は半減で受ける』とかな。そういう特質のことを『スペシャル』って呼ぶ)
(スペシャルぐらいはボクも知っているよ、バカにしてもらっちゃ困る)




