127話 コピペしてる。
127話 コピペしてる。
そこで、モンジンが、ボソっと、
(あいつの、頭の配線の飛び方……誰かに似ているなぁと思っていたんだが……やっとわかった。17番……ゼンドートは、お前に似ているんだ。魂の輪郭が、そっくりだ。たぶん、コスモゾーンがコピペしてる)
(流石に、その侮辱だけは、聞き捨てならないな。モンジン……きみがブラックなジョークを愛しているのは、これまでの会話で、それなりに理解できているけれど……その発言だけは、シャレじゃすまないよ。絶対に許さない、絶対にだ。取り消せよ……今の言葉!)
(シャレで言ってねぇよ。マジでそう思ったってだけの話だ)
(そうかい。ちなみに、ボクも、ゼンドート伯爵って、君に似ているなぁって思っていたところだ。魂の輪郭がそっくり。たぶん、コスモなんとかがコピペしてる)
(流石に、その侮辱だけは聞き捨てならねぇ。17番……てめぇがショボいボケを愛しているのは、これまでの会話で、それなりに理解できているが、その発言だけはシャレにならねぇぞ。絶対に許さない、絶対にだ。取り消せよ……今の言葉!)
と、心の中で、互いに、無意味な罵り合いをしていると、
――ゼンドート伯爵が、続けて、
「……これが最後の通告だ、ラストローズ少年。――剣を収めろ。この勧告を無視するのであれば、僕は今回の件を正式にセミディアベル公爵に報告し、君およびカルシーン伯爵に対して、厳格な処罰を求める。死罪は免れぬと覚悟せよ。いま君たちが犯しているのは、まさにその覚悟を要する類の罪だ」
セミディアベル公爵の名前を出されたことで、
ラストローズ辺境伯の顔が明確に曇った。
公爵と辺境伯の力関係とかは、もちろん、あまり詳しくないけど、
あの顔を見る限り、ラストローズ辺境伯にとって、公爵はアキレス腱なのだろう。
ピリピリとした空気が場を支配し尽くして、どれぐらい時間が経っただろう。
この息苦しい空気を払拭するように、
――彼が現れる。
「はっはー、ずいぶんと元気いいねぇ。何かいいことでもあったのかい?」
軽やかな言葉を口にしつつ、人垣をかき分けて、ゼンドート伯爵の前まで歩いてきた男。
その名は、『モンジン・アバターラ』。
ようするに、ボクの分身だ。
……全然、ボクに似てないけど。
突然現れたアバターラを見て、
ゼンドート伯爵は眉間にしわを寄せ、
「……みすぼらしい顔だな。どこの奴隷だ?」
「あえて言うなら世界の奴隷かな。あるいは道徳の奴隷。別にその気はないんだが、殺したいほど嫌いなやつに悪人が多くて、まいるよ、まったく」




