117話 コスモゾーンは何でもできるが、基本、何もしてくれない。
117話 コスモゾーンは何でもできるが、基本、何もしてくれない。
「イベントリスナーがコクーンでパージね。なるほど。全部わかったよ。完璧な説明感謝だ。……ただ、もしかしたら、今の説明じゃ分からないって人も、万が一、一定数いるかもしれないから、一応、念のため、幼稚園児にも分かるように言い換えてもらえる?」
(……自分の体にサインペンで『死んだら自動で蘇れ』と書いたらマジで生き返る……みたいな感じだ。それだけ理解していれば、もういい)
「え、それって……つまり、誰でも無敵になれるってこと?」
(当然、制限はある。神字を刻む者の『神気』――つまり存在値が、奇跡をどこまで制御できるかを決める。命の総量が『制御権限』となるんだ。コスモゾーンは万能だが、無制限じゃねぇ)
「ここまでの説明に関して『全体の97%ぐらい』は『何を言っているのか分からなかった』けど、だいたいは分かったよ。つまり、ボクは脱げばいいんだね?」
(ああ、その通りだ)
と、お互いが『投げやり』になったところで、
それまで静観していた7番が、
「脱がないでよ。気持ち悪いから」
と、ゴミを見る目でそう言ってから、続けて、
「で? なにか分かったの? あんたの独り言は、全部、『頭がおかしい戯言』ばかりで、モンジンと、どういう対話をしていたのか、さっぱり分からなかったんだけど」
「えっと、要約すると、『何も分からない』っていうのを、ダラダラ言われた。『脳が記憶するのを拒絶している』から、モンジンが何を話していたのか、具体的には完全に忘れたけど、『モンジンが何もわかっていない』ということだけは過不足なく正確に理解したよ」
(……『過程を経て分からない』のと『頭から何も分からない』という弐つの間には大きな隔たりがあるということぐらい理解できるよな?)
ボクの中で、『口だけ頭でっかち君』が、何か言っているけど、
ボクはそれをシカトして、
「宝も回収したし、そろそろ、戻ろう」
「そうだな。……目覚められても面倒だし」
いつまでもダラダラと話していて、3番と伯爵が、途中で起きたらまずい。
……というわけで、7番に『気絶した3番とカルシーン伯爵』を担いでもらう。
そして、『ボス撃破後に出てくるワープゾーン』を使い、出口に戻った。
無言のままワープに包まれる瞬間、ボクはちらりと、指にはめたままの指輪を見た。
アバターラが、なぜモンジンの分身になったのか。その理由は、結局、霧の中。
なんなんだろうね、ほんと……




