115話 モンジン・アバターラ。
115話 モンジン・アバターラ。
『モンジンの分身(?)』の顔をジっと見てみる。
……この顔……どっかで見た気がしなくも……ない……
転生前……どこかで……
――などと考えていると、
7番が、
「……それが分身? 顔も体格もまったく違うように見えるが? 通常の分身魔法なら、自分と瓜二つになるはず。『アバターラ』とやらは、その限りじゃない……という理解でいいのか?」
と、アバターラをじっくり観察しながらそう言った。
すると、驚いたことに、
……アバターラが口を開いた。
「いや、普通、アバターラは、使い手の『そっくりさん』になる。むしろ、分身やオーラドールよりも酷似するのが通例。……17番が装備している、その『アバターラの指輪』を『神字』でカスタムして、『アバターラを別個体に見せる』という方法もあるにはあるが、今は、別に、そんなことしてねぇ。……俺も、俺自身の状況をイマイチ理解してねぇが、ハッキリと言えることが一つだけある。それは、俺が、17番に憑りついた幽霊『モンジン』の分身だってこと。以後お見知りおきを……からの、よろしくどうぞ」
ペラペラと流暢におしゃべりをするアバターラを見て、
7番が、ボクの方に視線を向けてきた。
「……って、言っているけど? そうなの?」
「……たぶん。……ボクの中にいるモンジンも、そのアバターラくんのことを、自分の分身っぽいって言っているし。あと声が……同じだ。ボクは耳がいいわけじゃないから、もしかしたら違うのかもしれないけど、少なくとも、ボクには同じ声に聞こえている……」
「なんで、あんたが魔法を使っているのに、あんたの分身ではなく、モンジンの分身になるの?」
「ボクに聞かれても知るワケがないから、珍事専門家に聞いてみるよ。……というわけで、教えてモンジン」
と尋ねると、
(その指輪、よく見せろ)
と指示がきたので、ボクは、自分の目の前に指輪をもってきて、色々な角度からじっくりと観察してみる。
「これで、よろしいっすか、モンジン博士。しっかり見えてます?」
(神字は書かれてねぇな。内部に刻み込まれているか……あるいは、『指輪状に加工する前』の『素材の時』に刻んだパターンか。なんにせよ、ディメンションアイもプロパティアイも使えない現状では、何も分からないな)
などとブツブツつぶやいてから、
モンジンは、
(17番。神眼モノクルで、アバターラのスペックを確認しろ)
「してくださいだろ? あぁん?」
(……)
「冗談ですやん」




