113話 コモン?
113話 コモン?
今回、中に入っていたのは……
「指輪と……いつもの説明書か」
何の装飾もない簡素な指輪と、文字が書かれた紙が一枚。
ちなみに、『宝箱を開けた時の演出』は、特に凝ったところはなく、
神眼モノクルを入手した時と同じぐらいの簡素なものだった。
……ということは、この指輪のレア度はコモンなのかな?
知らんけど。
サっと説明書を読んだところ、
「……装備している間だけ無条件でアバターラが使える……か。なんのこっちゃ」
ボクは、神眼モノクルの時と同じで首をかしげた……
が、モンジンは、
(アバターラを無条件?! えぐ!)
と、神眼モノクルの時より遥かに興奮している感じでそう言った。
(モンジンさん、アバターラってなんじゃらほい?)
(正式名称は『オーラドール・アバターラ』。……オーラドールぐらいは聞いたことあるだろ?)
(あー、なんか聞いたことあるような気がするなぁ……『分身的なアレ』の『上位互換的な何かしら』だっけ? 貴族の誰かが使えるっていうウワサを聞いたことがあるような、ないような……)
(そうだ。『分身』の上が『影分身』で、その上が『オーラドール』で、その上位互換が『オーラドール・アバターラ』だ)
(分身の魔法って、たまに使っている人いるけど……『本体よりだいぶ弱いザコを出す召喚魔法』って印象なんだよなぁ)
闘技場で、たまぁに、分身魔法を使っている人を見かけた。
かなり高度な魔法なので、使い手は少ない。
この11年の中で、2~3人ぐらいしか、使い手を見たことがない。
レアな魔法なのは事実だけど、
『分身魔法を使えるから強い』って印象は正直全くない。
ただ希少なだけ。
なんせ、本体の『10分の1ぐらい』の力しか持っていない分身を1体召喚するだけだから。
それだったら、正直、ボクの『ゴブリン召喚』と大差ない。
というか、ゴブリン召喚の方が上だ。
だって、ボクのゴブリンは、ボクより火力高いし……
だから、正直、今回の『アバターラの指輪』は『ハズレ』かなぁ……と、正直思っている。
ただでさえクソザコなボクの『10分の1スペック』が出てきたところで、
風に吹かれて吹っ飛ぶだけだと思うから。
(その印象は正しい。実際、ただの分身はゴミみたいなもの。しかし、オーラドール・アバターラは、かなり高性能な『もう一人の僕』。鍛えれば、本体の7割性能で呼び出すことも可能だ!)
(鍛えて……7割かぁ……『10分の1』スペックと比べたら、だいぶマシとはいえ……『ボクの7割スペックがもう一人いたから』って……『だから何?』って思わない?)




