104話 なかなかいい毒魔法。
104話 なかなかいい毒魔法。
血を吐いたのは、3番とカルシーン伯爵の二人だけじゃない。
ボクと7番もゲフっと血を吐きだす。
金属の味が舌の奥に広がった。
肺の奥まで熱を持った毒素が流れ込み、体の芯から焼かれるようだった。
そこで、ボクの中にいるモンジンがボソっと、
(……『毒毒毒霧』と『黒龍毒』か。なかなかいい毒魔法を使ってくれるじゃねぇか……)
喉が焼けるように痛い。
口から荒い息が漏れる。
耐えられないほどじゃないけど……このままだと、10分ぐらいで死にそう。
手足の末端が冷え、意識の端がジリジリと削れていく。
毒というより、何か別の……『命を削る呪い』にすら思えた。
視界がじんわりと暗くなり、足の力が抜けた。
(モンジン……ど、どうしよう……)
(不幸中の幸いで、この毒は『質が悪い』から、即死はしねぇ。……いや、正確に言うと、そこまで低品質ってわけじゃなく、『定数ダメに特化しているだけ』なんだがな。定数ダメ特化にしておけば、ダメージ量は少なくなるが、同格や格上相手でも、最低限は削ることができる。彼我の数値差を考えれば、単発ダメージ特化にした『普通の龍毒』で攻撃した方がいいんだが、魔王はバカAIってわけじゃねぇから、おそらく、そういう攻撃手段は持っていないんだろう。定数ダメでちまちま削っていく耐久嫌がらせビルド――)
(細かい分析はどうでもいいから、とにかく、どうすればいいか……教えて……やばい、フラついてきた)
(ゼラビロスは回復系の魔法も使える。その程度の毒を処理するのは難しくない。だが、3番たちの目がある現状で、魔王を召喚したくはない。あいつらが気絶したタイミングで魔王を召喚するぞ)
(うぇっ……も、モンジン……もう、そういう計算とかいいから……今すぐ魔王を召喚して、回復して……これ、しんどい……)
……この世界に転生する前、日本にいたころ、一度、近所のスパ銭で『30分サウナチャレンジ』という無謀に挑戦したことがあるけれど、今は、あの時の倍ぐらいしんどい。
全身が熱くて、うまく息ができない。
はやく、この苦しみから解放されたい。
(17番、大丈夫だ、そのダメージ量じゃあ、まだ死なない。全然、余裕だ)
(余裕じゃないよ……死ぬって、これ……気絶する……)
(その程度の苦しみは、俺がこの前のダンジョンで味わった『超神聖水』の苦しみの700億分の1ぐらいだぞ)
(しょ、小学生か……っ)




