99話 第二形態。
99話 第二形態。
「いや、まあ、わかっているんだけどねぇ……」
などと言いつつ、ボクは、ダンジョン魔王の死体が宝箱になるのを待つ。
……が、いくら待っても宝箱になってくれない。
「? あれ? まだ? もう宝箱になってもいいんじゃない? いつまでも幼女の死体は見ていたくないんだけど」
と、ボクが小首をかしげていると、
ダンジョン魔王の身体がグニグニっと変形していく。
「おっ、やっとか……ん?」
宝箱になるのかと思った……が、
予想は外れて、
ダンジョン魔王は、雰囲気そのままに、手足だけがニョキっと伸びる。
見た目年齢で言えばパリピーニャと同じサイズに、秒で成長。
膨らんだ胸がプルンと元気にはねた。
それを見て、ボクは苦虫をかみつぶした顔で、
「第二形態なんて、今までなかったのになぁ……」
と、不満を口にしつつ、
心の中で、モンジンに、
(もう日はまたいでいるから……また5分間、パリピーニャ&ゼラビロスを召喚できるよね)
(ああ)
念のために時間調整しておいて、本当によかった。
備えあればうれしいな。
ついでに、神眼モノクルで、ダンジョン魔王の性能をチェック。
ステータスは……さっきの幼女状態より、だいぶ低いな。
体力も魔力も攻撃力も、全部、半分以下なんだけど……
これ、どういう第二形態?
普通、第二形態って強くなるんじゃないの?
と不思議に思っていると、モンジンが、
(おそらく、『生命力を二つに分割しているタイプ』だな)
(どういうこと?)
(100ある生命力を、『80と20ぐらいに分ける』みたいな感じ……もし80の方が殺されても、20の方が出てくるという仕様……だと思われる)
(それ意味ある? 無駄に弱くなるだけじゃない?)
(あえてそうしているのではなく、そういう面倒な『アリア・ギアス』を組んでいるパターンじゃないかな……)
アリア・ギアスは、『覚悟』を『力』に変える世界のシステム。
『毎朝5分祈る』かわりに『火玉ランク1の魔法が使える』……みたいな感じ。
ボクのゴブリン召喚も、実は、アリア・ギアスを使って強化している。
『毎日一回は召喚して頭をなでて褒めてあげる』かわりに『HPと攻撃力がちょっと上昇』というアリア・ギアスを組んでいるのだ。
『覚悟』が重たければ重たいほど、力は大きくなる。
代わりに、もし、一度でも誓いを破れば、とたんに力を失う。
だから、あまり難しい覚悟を決めることは出来ない。
ボクが『毎日一回は召喚して頭をなでて褒めてあげる』というルールにしているのは、それ以上厳しくすると、守れない可能性が高いから。




