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15話 フッキに勝つプラン。


 15話 フッキに勝つプラン。


 この時点でのゴート・ラムド・セノワールは、ただ数字が膨れ上がっただけの化け物でしかなく、『本質的な戦闘力』に関しては、その辺にいる『冒険者志望者』よりも低い。


 搭載している複数のチートがスゴすぎるため、『戦闘力がちょっと高い』程度の相手までなら、ゴリ押しでもどうにかなるが、神闘の領域に入ってくると、余裕でボコボコにされてしまう。



「フッキに勝つための方法。というより、今後の方針。とりあえず、プランは二つある。……どうにか戦闘力を磨いて、『数字でははかれない強さ』を得るか……もしくは……」



 そこで、ゴートは、



「……『数字でははかれない強さ』――それをも圧倒する『数字』を得るか……」



 ボソっとそうつぶやいた。


 サイゾーの場合、ゴートの数字が膨れ上がるほどに存在値も戦闘力も増していくが、フッキの場合はそうじゃない。


「エレガが行動を起こす前にフッキをデリートする事。それが、現時点における最大の目的。つまりはタイムリミットがある。それも、明確な基準があるタイプではない、精神的にくるタイプのタイムリミット。……ならば、『おそらく相当な時間がかかってしまう戦闘力の向上』よりも、とにかくフッキを圧倒するほどの数字を得るほうが、あくまでも、『俺視点における現時点』では、正しい選択肢のような気がする……」


 ゴートは、今後の『自分』を『どうしていくか』と、深く深く考える。

 『今のところ勝てない相手』を倒すために、『どうすればいいか』と、バカみたいに必死になって、深く深く考える。

 この時間をこそ、『センエース』という個は、なによりも愛する事ができる。


 世界の命運がかかっているというのに、ゴートはワクワクしていた。

 『どうすればフッキに勝てるか』を考えている間、

 ゴートは、『それ以外の全て』を忘れて没頭していた。


 孤高の時間。

 誰にも邪魔されない、センエースが最も輝ける時間。


 ちょいと不謹慎かもしれないが、知ったこっちゃない。

 『センエース』という個は、ヒーローという役目を与えられた『記号』じゃない。

 全てが積み重なった果てに、気付けば『他の誰にもマネできない象徴』というポジションに収まってしまっていただけ。


 つきつめてしまえば、身勝手に、ワガママに、己が欲望のために、『ありとあらゆる絶望』をオモチャにするサイコパスでしかなかった。

 それが、センエースという人間――ゴート・ラムド・セノワールという魔人である。



 ★



 考えがまとまらず、いったん、外の空気を吸おうと、サイコゾーン・サンクチュアリから出るゴート。


 『どうするべきか』と考えながら、ブラブラと中庭を散歩していると、



(……おっとぉ……)



 空間魔法に閉じ込められたのを感じて、周囲にアンテナをはる。


 すると、ゴートの警戒網に、とある二人がひっかかった。

 男女。

 男の方はムキムキで、女の方はハリガネのように細い。




「突如として空間魔法に補足されたというのに、まったく動じないとは……豪胆だな、ラムド・セノワール」

「肝が据わっている? それとも、実は、補足された事にも気付かなかった?」




 『後ろから声をかけられたことでようやく気付いた』――というていで、ゴートは振り返り、二人の姿を確認する。


 そこにいたのは、天国に属する五神の二柱。


 ホルスド・ガオンと、

 ダーキニィ・パラフューム。


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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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