97話 練度の高い嫌がらせ。
97話 練度の高い嫌がらせ。
ダンジョン魔王の攻撃を前に、慌てふためくボクと、死を覚悟した顔の7番。
そんなボクらを守るように、パリピーニャがギュンと加速して接近。
……右手でボクを、左手で7番を、ガシっと捕縛すると、そのまま、さらにギュンっと加速して、黒紫の雷撃から、ボクらを守ってくれた。
――素敵。抱いて。
その間、ゼラビロスは、ドンと爆音を立てて、ダンジョン魔王に接近していく。
そして、華麗な飛び蹴りを一発、ダンジョン魔王の顔面にぶちこむ。
――イケメンが、幼女を蹴り飛ばしている。
コンプライアンスもへったくれもないセンセーショナルな光景。
空間に亀裂が走った気がした。
気のせいだ。
続くようにして、パリピーニャが、
ボクらを、丁寧に壁際に寄せて、バリアの魔法をかける。
そのままの流れで、ボクらのもとから離れて、ダンジョン魔王に襲い掛かった。
正直、ずっとここにいて、ボクらの盾をしてほしかったけど、『さっさと倒して欲しい』という欲望もある。
ボクのワガママに底はない。
幼女魔王は、苦悶の表情を浮かべている。
二体の魔王に追い込まれて、かなり苦しそう。
グガガガガガガと、爆発音みたいな物理ダメージの応酬。
幼女型ダンジョン魔王は、その見た目通り、フィジカルのスペックは微妙なタイプのよう。
接近戦では、非常に分が悪いっぽく、どうにか距離をとって魔法を展開しようとする。
だが、しかし、そんなことを許す『うちのパリピーニャ&ゼラビロス』ではない。
パリピーニャは、踊っているかのような柔らかい動きで、ダンジョン魔王の小さな体を、手刀で切り裂いていく。
『ぎゃあ!!』
と、ボクの脳内に、ダンジョン魔王の悲鳴が響いた。
いやぁ、勘弁してほしいね。
耳をふさいでも、心に直接流れ込んでくる幼女の悲鳴。
なんて練度の高い嫌がらせなんだ。
なんか、こっちが悪いことしている気分になる。
(あいての見た目が脂ぎったオッサンなら、容赦なくボコボコにできるが、見た目が幼女だったら、躊躇する……ってのは、それはそれで、問題のあるルッキズムだと、俺なんかは思うんだが、17番、それについて、お前はどう思う?)
(なんでもかんでも社会問題に落とし込んで、人の思想を統制しようとする、歪んだ洗脳だと思う)
(なかなかイカすこと言うじゃねぇか、バカのくせに)
(この前、君が言っていた言葉だよ)
(……? 俺、そんなこと言ったっけ?)
(言ってなかったっけ?)
(トゲのある思想を、他人が言ったことにして、責任を回避しようとするなんて……なかなかファンキーな防御策をお持ちじゃねぇか)




