83話 共犯者にさせたくて。
83話 共犯者にさせたくて。
『冷静な時だったら、普通に意図を汲み取ることができました』
と、必死に、心の中でモンジンに言い訳していると、
蝙蝠の7番が、
「私以外に、あんたの秘密を知っている者は? ほかにいるか?」
「……えっと……」
「正直に答えろ。私は敵じゃない」
「てきじゃ……ない……」
彼女の言い方は、基本、柔らかいのに、目だけは常に動物のように鋭い。
歴戦の殺し屋の目なんだよなぁ。
普通に怖すぎる……
だから、ボクはすがるように、モンジンに『ヘルプ』を求める。
(どういうこと? この人、何がしたいの?)
(魔王の力は、使い方しだいじゃ、何でもできる。だから、『お前を利用しよう』と考えてんだろ。……この女が、そういうタイプで助かった。問答無用で通報するタイプだったら、お前は終わっていた)
つい『終わっている未来』を想像してしまい、ゾっとした。
武装した上位貴族たちが、魔法陣を展開し、
ボクの体めがけて、一斉に魔法を撃ち込む光景が頭をよぎる。
目の前が真っ白に焼き切れて、身体の感覚が消える──そんな最期を、想像して身震いが止まらない。
今日はもう魔王を召喚できないから、もしそうなっていたら、抵抗できずに瞬殺されていただろう。
……それで、終わっていたボクの人生……
危なかった……
「私は、セミディアベル公爵やラストローズ辺境伯などの上位貴族の命令で、魔王事件について調べていた。7月10日に、魔王組の構成員が植物人間状態で発見された事件。あれの犯人はあんただろう?」
「えーっと……」
「意味のない嘘は敵対行動とみなす。私は、いまのところ敵ではないが、あんたの態度次第ではいつでも敵になると思ってくれ。本気で交渉する気がないというのなら、このまま、セミディアベル公爵のもとに報告へいく」
(どうしよう、モンジン……どういうのが最善?)
(もはや、最善を求められる状態じゃねぇな。地雷だけは踏まないよう、最低限の結果を全力でとりにいけ)
(含みのある言い方をされても、通じないと心得て。ここから、ボクは、具体的にどうすればいいの?)
(正直に答えろ。その上で、望みを聞いて、叶える方向で動け。そして、最終的には、その女を共犯者にするんだ)
(……わかった)
モンジンとの相談を終えてから、ボクは、蝙蝠の7番に、
「おっしゃるとおりです。魔王を使って、ヤクザを植物人間にしました……」
「やはり、そうか。見たところ、パリピーニャは、前衛物理タイプで、特殊な魔法が使えるようには見えなかったが」
「マパネットという魔王が……搦め手を得意としているので……」




